ヒロくんが大好きな「春巻」・・・・そういえば・・随分長い事作っていなかった事に気がつきました。
入院までのカウントダウンが始まったとは言うものの、相変わらず夜勤は続けなくてはならないので、まだまだ体力を温存しながら過ごす日々が続いています。
朝、ヒロくんを送り出してから、午前中は仕事に行き、必要最低限の事だけ済ませ、昼食後しばらくお昼寝、と言うリズムが、昨年からずっと続いています。
買い物に出かけたり、夕食を作ったりと言う時間が限られてくるので、それを口実に手抜き料理ばかり続けてきました。
恐ろしい事にほぼ毎日「ナベ」で誤魔化しているのですが、具を変え、汁を変えるだけで、毎日それなりに美味しく温かく栄養補給が出来ていると、自分を納得させています。
collorsさんから教えて頂いた、水菜と豚バラだけの「究極のナベ」は大うけでした。
準備と言えば、ナベの汁が温まる間に水菜を洗うだけなので、ほんの数分で食べられる様になります。
冷凍庫にうどんが入っていれば、ご飯も炊かなくても良いので、本当に簡単で、しかも美味しい!
そんな訳で、手抜きばかりして来た私ですが、ヒロくんとの別れの時間を自覚するようになると、急に何か好みのものを作ってあげたくなりました。
そうだ!春巻き!
いったい何時から作っていなかっただろう?
昨年の夏に食欲がなくなった時には、春巻きと天ぷらを一日交代で作っていた様な気がするけど、もしかしたらそれ以来一度も作っていないかもしれない。
これは大変だ。お別れの前に、食べさせないと!
そんな訳で、本日の夕食は春巻きとなりました。
夕方、デイから戻ってきたヒロくんは、テーブルの上の作りかけの春巻きを見て「いいねぇ」と言いました。
大好きな春巻きの事は、しっかりと覚えている様です。
春巻きが出来上がるまでの間に、おやつとしてクリームが挟んであるワッフルを4個、ホットミルク2杯飲んでいます。
出来上がったのはミニ春巻き30本です。
私は、作りながら、こんな普通の料理風景すら今まで忘れてしまっていた事に気がつきました。
息子たちはまだ戻らないので、ヒロくんと私と二人で食べる事になったので、まず10本の春巻きを揚げました。
ヒロくんは、嬉しそうに食べ始めました。
一本目、一口かじって、ちょっと目を放した隙に味噌汁の中に入れてしまいましたが、まあ・・・お腹に入れば同じだわ。
直ぐに、2本目に手を伸ばしました。
春巻き久しぶりだね。美味しい?おいしい3本目。
美味しい?おいしい4本目。
美味しい?おいしい5本目。
良く食べるね。美味しい?おいしい6本目。7本目。
私が3本食べたので、お皿は空になりました。
もうないね。美味しかった?おいしかった~ヒロくんのお腹はパンパンになって、心も満たされた様です。
良かった・・・・作って良かった。
その後、ヒロくんが一眠りしている間に、息子たちが戻ってきたので、私は残りの20本の春巻きを揚げて、第二弾の食事が始まりました。
すると、いつもの様に、ほんの20分程度でヒロくんが起きてきました。
ヒロくんは、テーブルの上の春巻きを見て、顔がほころびました。
久しぶりに、良い表情です。
食べたいの?うんお父さん、さっき7本も食べたんだよ。え~?そうなの?
食べすぎが心配でしたが、春巻きをじっと見つめて、とっても幸せそうな顔をしているヒロくんを見ていると、ダメ、とはとても言えないでいると・・・・・
1本だけだったらいいんじゃないの。あ~、良かった、息子からの助け舟が出た。
ヒロくんは、とても幸せそうに春巻きを1本食べました。
食べ終わると、また・・・・更に幸せそうな顔で、お皿の上の春巻きを見つめています。
もう1本なら良いか・・そうだね・・・そして、もう1本、もう1本とお皿の上の春巻きが消えて行くのですが、久しぶりのお父さんの幸せをそうな顔に、その場は、本当に幸せな空気に包まれました。
春巻きを見つめるヒロくんの顔は、美味しいお菓子を目の前にして、食べても良い?ねえ、おかあさん、食べても良い?と目で語りかける幼児そのものでした。
とうとう、お皿は空っぽになってしまいました。
あ~あ、全部なくなっちゃったよ。お父さんが全部食べたからなくなったよ・・・そう言ってみた私に、ヒロくんは、
すみませんと、今度は、本当に済まなさそうに言うので、また私達は大笑いでした。
久しぶりの夫の笑顔に、私は何枚も写真を撮りました。

こんなに、心にゆとりを持って家族団らんが出来たのは、随分久しぶりです。
これも、この生活に期限が見えてきたからです。
ヒロくんの状態は、変わらないのだけれど、それを受ける側にゆとりが出来ると、ケンの周波数理論によって、好循環が生まれて来る様です。
今、「一期一会」を実感しています。
ヒロくんが、何をしても「もうこれが最後。もうすぐ家から居なくなる。この瞬間を大切にしよう。」
そう思えます。
さて・・・・・
明日は何を作ろうかな・・・・・。

ずっと今の状態で頑張っていたら・・・
もし病気ではないご主人がmomoさんを見たら
「ありがとう、休んでくれていいよ」って
絶対に言うと思います!!
無事に入院できて
ヒロさんの苦しみが和らぎますように・・・。