新居に引っ越して5日が過ぎた。
生活のリズムが変わった。
毎日、夫の顔が見られる。
夕食後、ホールの端にあるソファに座って、夫に果物を食べさせていると、仕事帰りの息子が顔を出す。
テレビを見ながら、何と言う事の無い話をして、しばらく寛いでから自分の家に帰ってゆく。
夫がいて、息子がいて、テレビがついていて、リビングのソファに座っているこのありきたりの光景。
失くしてしまってから、随分の月日が流れた気がする。
在宅で居た頃は、不穏状態酷い夫から隠れるような時期もあった。
息を潜めて、悪魔が居なくなるのを待っていた。
団欒など、考える事もなかった。
入院してからも、そこはやはり病院だった。
急性期治療専門の精神病院だ。
とても良くして頂いて、感謝一杯だけど、やはり・・・・当たり前の団欒はなかった。
夫の胴体には、ずっと拘束帯が巻かれていた。
それを見るに耐えかねて、Vホームに移った。
Vホームは、とても心地の良い居場所だった。
夫も、少し慣れてきた気がした。
だけど、遠い。
私の日常生活の一こまではなかった。
わざわざ時間を作って出かけないと、夫に会うことは出来ない。
仕事が忙しい息子は、会いに行く事が出来なかった。
今、こうして直近くのホームへ移って、
毎日、会いに行ける。
昼間、出かけられない日でも、仕事を終えてから行ける。
歯医者さんに行ったついでに、買い物のついでに、配達のついでに、ちょっとだけ顔を見に寄る事も出来る。
在宅介護こそ叶わなかったが、夫が私の日常に戻って来た気がする。
「すぐそこにいる」と言うのが、とても心の安らぎに繋がると言うことを実感している。
また、職員さんたちも、そんなに困らずにお世話をして下さっている様だ。
そんな訳で、「老いては子に従え」の諺は正解で、私は今の生活にとても満足している。
問題は、当の夫のご機嫌なのだが、これだけは、思うようにならない。
環境の変化が、どれだけ影響しているか、はっきりとは分からない。
何処にいても、しかめっ面あり、普通の顔あり、たまには頬が緩む事もあり、なのだ。
ただ、やはり、何か違う、と言うのは感じていると思う。
課題は色々あって、まだ始まったばかりだけれど、とりあえず、新生活は順調に動いています。
私の介護も、結果論でしか評価しようのない過程をたどりましたが、momoさんも大変な道のりでしたね。
渦中は「そのときベスト」の選択の連続ですものね。
そのときは先がどういうふうに展開していくか神のみぞ知るですものね。
とにかくここまで来られました。
これからの道のりが平坦でありますように祈っています。
団欒が復活されたことは本当に嬉しいですね。
今の「幸せ」をどうぞ大切になさってくださいね。