久しぶりに、お八つの時間に会いに行った。
夫には、ご機嫌の波にリズムがあるのかもしれない。
夕食時に行く時は、初めはしかめっ面でも、食べ終わる頃には穏やかな顔になって、その後私が帰るまでずっと良い顔をしていてくれる事が多い。
職員さんに聞くと、夜は良く眠って、起きてから朝食後までは100%機嫌が良いが、日中は、その時によって色々とのことだ。
夜から朝にかけて、ご機嫌が良いと言うことに、何か理由があるのだろうか。
暗い?静か?
良く分からない。
今日の夫は、眉間に皺がより、目が開かない時間が長かった。
女性職員さん二人が、布団で横になっている夫を車椅子に移すのに、とても重そうだった所から会話が始まった。
重そうですね。重労働ですよねぇ・・体重は、増えてるんですか?(ファイルを見ながら)
木曜日に計った時、56Kです。え~!56ですか?この前53だったのに。(ファイルを繰りながら)
57の時もありますよ。え~!!57!!一番酷い時、43だったのに。あ、でも、もしかしたら暫く排便が無い時に計ったのかもしれません。
この所ずっと、トイレで排便が出来ていて、すごい量が出るんですよ。そうですか。それは嬉しいです。本人も気持ちが良いでしょうね。
日中のご機嫌はどうですか?良いですよ。ご飯を食べてる時、笑ったり、しゃべったりする事もあります。
この前、テレビ見ている時、手を叩いて嬉しそうに笑ってたんですよ。
笑ってる顔は、本当に良い顔ですよね。そうでしょう。本当に良い顔でしょう。夫の笑顔を誉めてもらって、嬉しかった。
職員さんは、私には良い事しか話されないのかもしれない。
夫が笑うと、皆が幸せになる。
トイレで排便が出来ている事も嬉しい。
認知症を発症した日から、ずっとずっと、大きな大きな、どうしようもない悲しみ、苦しみ、困難の中で生きなくてはならない夫。
夫が味わっている絶望や苦難に比べたら、私のそれなど微々たるものだけど、それでもそれなりに私も困難な道を歩かなくてはならない運命にある。
これまでもそうだったし、ここから先も変わらない。
どんなに穏かに落ち着いた生活が出来るようになったとしても、それは変わらない。
時々、そんな大きな悲しみの流れに飲み込まれそうになる。
だけど、「笑った」「トイレで出来た」こんな小さな小さな喜びが、流れに浮かぶ浮き輪となって、私をもう少し先に運んでくれる。
こうして、きっと最後まで流れてゆくのだろう。
願わくば、私の心を浮き立たせる様な、小さな喜びや感動が沢山あれば良い。
そうでなくても、あの眉間の皺が少なければ良い。
ここまで、散々、地獄の苦しみを味わってきた夫のこの先に、安らぎが多くなくては、あまりにも悲しい。
私が運べるのは、笑顔と美味しい食事だけだ。
やっぱり明日は、いつもの時間に行って、一緒に夕食をに食べる事にしよう!
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