Hさんは、毎年12月になると現れる。
夫が入院していた病院で、
偶然に出会ったのが、2年半前のことだった。
年齢は違うが、お互い掛け替えのない配偶者を認知症と言う病に連れて行かれてしまった事で、多くを語らずとも気持ちが分かり合える。
一年振りに出会うHさんは、ちっとも変わっていなかった。
相変らず元気そうで、ユニークなトークも健在だ。
「年に一度は、美人の顔を見に来なくっちゃね。」と。
「ご主人は?」と聞かれた。
そう聞かれても、今年はとても答えやすい。
良い施設にめぐり合えて、まあまあ落ち着いて暮らしている事を報告できた。
そして、聞いてみた。
奥様は?「もう逝っちゃいましたよ。今年の1月にね。」
愕然としてしまった。
最初に病院で出会った時、夫よりもずっとずっと元気そうで、言葉も笑顔も一杯だった優しそうな奥様の顔が浮かんできた。
人は必ず逝く。
だけど・・・・同じ道を歩いた方の死は、
とても悲しい。
とってもとっても、分かります。