窓から差し込む光の長さが、いつの間にか随分短くなっている。
嘗て無い大雪に翻弄され、寒さに震えている間にも、季節は確実に春に向かって進んでいる事を、そんな窓辺の光が教えてくれる。
「今日は、ちょっとご機嫌が良くなくて・・」と、職員さんが言いながらも、夫はいつもの時間に帰って来た。
じっと目を閉じた夫を、窓際に連れて行く。
顔から下が、全部日光に当る位置に車椅子を置く。
夫の足は冷たくなっていた。
日光浴だ!

ズボンを膝まで捲り上げて、靴下を脱がす。
暫くすると、冷たかった夫の足は、日光を一杯浴びて、ぽかぽかになった。

いつの間にか目も開き、じっと外を眺めている。
何が見えているんだろう。
いや、見えている景色は私が見るのと同じだけれど、その景色を夫の脳は、どんな風に咀嚼しているのだろう。
その表情から、何かを感じていると思いたいのは、私の欲目でしかない。
今の夫は、そんな何もかもを超越した自分だけの世界にいる。
それもまた・・・いいか。
窓際に小さなワゴンを持って行き、日光を浴びながら昼食を取った。
相変らず、食欲旺盛、咀嚼、嚥下にも問題なし。
何口目かを口に運んだ時、夫は、舌の先で何かを押し出した。
初め、葱の皮かと思った。
取り出すと、それはビニールだった。
調理中、うっかり鍋の中に入り込んだんだな。
すごい!上手に取り出してくれた夫を思いっきり誉めてあげた。

彼の味覚、舌の機能は、まだまだ健在だ。
昼食後、お迎えまでずっとお昼寝。
もう少し暖かく

なったら、デッキまで出て、ミニお散歩を楽しもう。

momoさんの今が私の求めている未来です。一足飛びにそこにいけたらどんなにいいだろう・・・
仕事をしなくてはと思いながらつい介護ブログ村をのぞいてみました。momoさんのコメント欄でお見かけした方がたくさんいらっしゃって嬉しかったのですが、壮絶すぎて心が折れそうでした。こちらに帰って来てこの陽だまりにほっとしました。
我が家の居間(床と壁が杉の木です)とデッキと日当たり、それに夫の足、よく似てます。