帰りがけに、廊下で若い職員さんと出会った。
お兄さんは、メグちゃんが大好き。
ひとしきりメグちゃんを可愛がった後、こう言われた。
「昨日、トイレで排便できました。」
そう聞くととても嬉しい。

トイレで排便が出来ると言う、普通の人にとって当たり前の事が、当たり前でなくなってから随分長い月日が流れている。
私自身が、夫をトイレに座らせると言う事が出来なくなってからは、オムツの中でも仕方がないと諦めていた。
出来るだけトイレで、と言う願いは伝えていたが、施設では、いつも誰かが傍で夫の様子を伺っていると言う事は無理なので、オムツの中でも・・・・仕方ない。
出るものがちゃんと出てくれれば、それで良いと思わなくては。
だけど、車椅子に座った状態や、布団で横になって排便するって、かなり難しいと思う。
出口が解放されていない状態で、普通、出せますか?
だから、トイレで出来たと聞くと、本当に嬉しい。

私のそんな嬉しさにお兄さんが気付いてくれたかどうかは分からないけれど、お兄さんは、更にこんな風に言われた。
「最近は、トイレでする方が多くなって来ました。僕らにも、分かる様になってきたんですよ。そろそろかな・・って。」
ああ・・お兄さんは、私の気持ちが天まで昇る

ほど嬉しい事はきっと分からないだろう。
私が嬉しかったのは、
トイレで出来る回数が増えてきたことは元より、職員さんたちがそれが分かる様になって来たと言う事。
夫の様子をしっかりと見ていないと、排便のタイミングを見つけることは無理だ。
そろそろ、入所一年が経つ。
この一年で、一年分、家族になってきたんだな。
何より、それが嬉しかった。

若い職員さんが多いこの施設。
夫は、「お父さん」と呼ばれているらしい。
スタッフが「お父さん」と呼ぶ関係が1年間で築かれたのですね。
ご主人様の特権かもしれませんね。
おそらく高齢のかたは名前で呼ばれていらっしゃるでしょうから。
本物の家族と新しい家族に見守られて安心しきっていらっしゃることでしょう。
かつては「在宅介護至上主義」とでも名付けたいほどの介護観が世の中を支配していましたが、よほどの好条件でないかぎり今のご主人様のようによい介護環境は家庭では望めないでしょう。
家族もゆとりをもって今できる最善のことを提供できるのですからありがたいですね。
このブログが心あたたまる介護のブログになったこと、心より「よかったですね」と言わせてくださいね。