火曜日なのに・・雨
だけど・・・
夫は、今日も家に居る。
戻ってくる時間は、降っていなかったのだ。
夫は強運の持ち主に違いない。
恒例の「天ざる」を食べ終えた頃から、ぽつぽつと雨が降り出した。
陽の光を浴びるほうが好きだけど、雨もまた乙なもんだ。
日に日に、量を増してくる新緑で埋め尽くされつつある山々が、何とも言えず美しい。

雨脚は少しずつ強くなって来た。
これは、帰りは少々難儀するかも・・合羽でも用意しなくてはならないかな・・。
そんな事を考えながら、メグちゃんと三人で外を眺める。

鶯のさえずりが耳に心地よく響き、時折、雨の中をすーっと飛んで行く鳥が目に入る。
ただ、じっと外を眺めているだけの、この静寂な時間に、とてつもない幸せを感じる。
余計なものは何も無い、シンプルな幸せだ。
一緒に居るだけ。
雨もまた、良いもんだ。
そろそろお迎えが来る時間になってから、孫がやって来た。
まーくん、もっと早く来なくっちゃ。
夫は、普段見せない表情をした。
分かってるんだな。
何かを、感じてるんだな。
あっと言う間に、お迎えが来てしまった。
「雨になりましたね。」
Kさんがそう言った。
確かに、そう言ったのに、外に出てみると雨が止んでいた。
夫は、いつもの手順で車に乗せられ、自分の家に帰って行った。
それから暫くすると、また雨が降出した。
夫は、絶対に強運の持ち主だと思う。
momoさんにこれほどまでに思われているわけですから・・・
認知症の方の中には ご家族の面会もほとんどない方もいらっしゃいます。
はっきりと言われるご家族様もいらっしゃいます。
「家族のことなんて どうせ わからないから・・」
ご主人さまは まちがいなく 強運の持ち主です。
お天気だけではなく、良いホームにめぐりあったこと、あたたかいmomoさんや息子さんたち、メグちゃんまでいらっしゃるんだから・・・
わたしは いままで ご主人様のように大事にされているご利用者様に出会った事はありません。。。