最近、夫は食事に時間がかかるようになった。
朝や昼も、以前は15分位で食べ終わっていたけれど、この頃は倍の時間がかかっているらしい。
夫は、とても良い環境で、落着いて過しているのは事実だけれど、それは一つには病気が進んだからに他ならない。
一年経てば、一年分、脳が萎縮するのは止められない。
苦悩に満ちた時期から思うと、天国の様な日々である事は間違いないけれど、病気が良くなって落着いた訳ではなく、病気が進んで落着いたことを思うと、本当に、本当に、本当に・・・残酷だ。
食事に時間がかかる様になったのも、一つは進行のせいかもしれない。
そこで、夫の食事風景をじっくりと観察してみる事にした。
以前は、食べ物が口に入って、何回か噛んで、ゴックン、直ぐに次を要求して口を開く、そして、噛んでゴックン、
このペースがとても速かったので、直ぐに食事が終わってしまった。
ところが・・・・
今日の夫は、口に入ったご飯を、噛んで、噛んで、噛んで・・・70回以上は噛んでいた。
真似してみると、いつの間にか口の中のご飯が消えている。
から揚げは、100回ほど噛んでいた。
それ程良く噛むので、結局全体の時間長くなる。
そして、途中で休憩をいれたりするので、夕食は1時間から長い時は1時間半ほどかかることがある。
見ていて、咀嚼や嚥下機能が衰えているとは思えない。
そこで、私なりの診断を下してみた。
夫は、この一年で10K以上体重が増えた。
長い期間入院して、拘束され、最悪の時は、43Kにまで落ちていた。
この一年、それを回復する為に、すごい食欲があった。
だけど、いつの間にか60Kを超えて、もう、これ以上増えなくても良いと、判断した。
だから、この体重をを維持するために、しっかりと噛んで、時間をかけてゆっくり食べれば良いのだと決めた。
誰が決めたのか?
それは、夫自身だと思う。
今、夫の体の中には、何の薬も入っていない。
昨年の9月以来、便秘の薬以外飲んだことが無いので、夫の体は、今、完全に自分自身で自分をコントロールしていると言える。
どんなに脳が萎縮してしまったとしても、きっと生まれながらに持っている本能で、自分を守っているのだと思う。
この先、どんな風に進んで行くのか、いつ、自分の人生を終わりにするのか、それも全て夫が自分で決めるのだろう。
私がしなくてはならないのは、
その邪魔をしないこと、だと思っている。
「量より質」に移行した思える夫との食生活、
還暦を過ぎた私にも、ちょうど良い。
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