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いつでも里親募集中

蕗の天ぷら

連休最終日は火曜日。


夫は・・・また・・・こんな奇跡をプレゼントしてくれた。






しかめっ面で家の中まで運び入れられた夫は、私を見るなり、いきなり手を伸ばした。


明らかに、会いたかった人に会えたと言う感じで、おもいっきり手を伸ばした。





ここ数年、こんな事はなかった。


私を、「自分の妻」だと認識出来なくなって、随分長い月日が流れた。


今では「美味しいものを食べさせてくれる人」になっている。


だけど、今日の夫は、確実に違っていた。





お父さん、お帰り




そう言って、伸ばされた手を握ると、夫は笑った。


ニコニコ、でもなく、ハハハ、でもなく、何とも言えない笑顔だった。


あ、笑ってる


驚いて、そう言うと、


たまたま居た息子が、「笑ってんの?」と聞いた。


それ程、何ともいえない笑顔だったのだ。


職員さんが、「ええ、うちでは見せない表情ですよ。」と言ってくれた。


強いて言葉にするならば、霧深い山中をたった一人で彷徨した果てに、諦めかけた頃、自分の家に辿り着いた、


ドアを開けると、会いたかった人が居た、


ここに居たのか・・・もう、一生逢えないと思っていたのに・・・もう一度逢えた・・・・良かった・・・・



そんな安堵の表情だったのだ。







皆が出て行って、二人きりになっても夫のその表情は消えなかった。


お父さん、お帰り、お家だよ。


手を握ったままそう言うと、夫は、笑い、




そして・・・・・



泣いた。
















夫の脳の中で、何が起こっているのだろうか。


今、この瞬間に、夫は、自分の大好きな家に帰ってきて、自分の妻が目の前にいて、嬉しそうな表情で自分を見つめている、と言う事を、はっきりと認識している。


頭の中の、何処かの配線が、突然繋がって、一瞬、過去の夫が帰って来た様な気がした。


恐らく時間は長くは無い。


私は、急いで、伝えたい事をしゃべった。


子供たちの事、会社の事、


そして、


とりわけ、一番伝えたい事、


お父さんと結婚して、本当に良かったよ。今、幸せだよ。


夫は、きっと、自分がこんな病気になってしまって、私を不幸にしてしまったと言う思いが強いと思う。


だから、そうじゃないよ、苦しい事、辛い事、一杯あったけど、楽しい事、嬉しい事の方が多かった、


お父さんのお陰で幸せだよ、と伝えたかった。








夫は、じっと私の言葉に耳を傾けてくれている。



そして、その言葉を理解し、顔の表情を目一杯駆使して、返事をしてくれている。



私は、夫の目から流れ落ちる涙を、何回も拭いてあげなくてはならなかった。




聞えた?分かった?


夫は、小さく頷いてくれた。




私は、夫に謝りたいことも抱えていた。


それを伝えて、


ごめんね、許してくれる?


夫は、また頷いてくれた。


その小さな動きを見て、私の心の中に長年溜まっていた滓が、すーっと消えていった。












暫くして戻って来た次男夫婦と一緒に食卓を囲んだ。


その頃には、夫はもう、いつもの夫に戻っていた。


「今日のお父さん、すごいの。私を見て手を伸ばしてきてね、笑ってくれたのよ。」


若い二人には、それだけ伝えたけれど、私がどんなに嬉しかったかは、とても伝えきれるものではない。


001ふきてん





メニューは、もちろん「天ざる」。


庭で取ってきたばかりの蕗の天ぷらが、香り高く、本当に美味しかった。








おもいだす



コメント

何度でも

よかった・・・
またこんな記事を拝見できて、嬉しいです。
実は母が3月に旅立ちました。病気のせいで表情をなくしていたのに2月の末には澄んだきれいな笑顔をみせてくれて、言葉もでました。両親とも意思の疎通が難しくなる病でしたが奇跡のようなご褒美をもらいました。一人っ子なので肉親は誰もいなくなりましたがこのご褒美を大切にしようと思います。
これからも 素敵な時間をお過ごしください。

よかった
そんな言葉しかないです
ご主人の心に伝わっての涙ですね
ほんと良かった

よかったですね。私もうれしくてもらい泣きです。     そしてヒロさんの着ている セーターに びっくり!主人が 好んで着ていたセーターと同じ! 失礼かもしれませんが 未だに引きずって生きてる 私には とっても うれしくて・・・   まだまだ 奇跡は おこりそうですね 応援してますよ                   44E355

みるふぃーゆさん

以前「奇跡の時間」は何度でも来る、と言われたみるふぃーゆさんの言葉が蘇りました。みるふぃーゆさんも、お父様とお母様から、何度も「奇跡の時間」を贈られたのですね。

私も、子供たちの親として、例え病に倒れたとしても、そんな素敵な贈り物をあげられる様な親でありたいと思いました。

どうぞお体をお大事に、お元気でお過ごし下さい。私も、次の「奇跡の時間」を心待ちにして日々を過して行きます。

くまこさん

暖かいコメントありがとうございます。

「よかった」と言って頂けて、本当に嬉しいです。また、こんな記事が書ける日を楽しみに、頑張って生きて行きますね。

44E355さん

お久しぶりです。ワンちゃん、元気ですか?

私も、以前、家のお客さんが、夫が気に入っていたセーターと同じものを着ておられて、ちょうど病状が酷い頃だったので、そこに元気な夫が居る様な気になったことがありました。

でもね・・夫が着ているセーター、「しまむら」で買ったとてもとてもお買い得品なんですけど・・・。

それでは、どうぞお元気でお過ごし下さいね。

認知症を患っている方は 時折 奇跡を見せてくれる事があります。
信じられない言葉や 態度、行動。。。
わたしの 励みになりました。

でも、それは いつもいつも その方と2人だけの時です。
同僚に言っても 誰も信じてはくれません。
でも、だからこその 奇跡なのだと思っています。

現場を離れた私には もう そんな奇跡に会う事はないと思いますが、momoさんの書かれている奇跡の数々、わたしは 信じています。

蕗のてんぷら 明日 作ってみようと思います。

心を開く人に心を開く

らんさん、はじめまして。
志を高くもって介護のお仕事に取り組んでこられたのですね!
介護現場のしんどさは、家族の立場で面会に通った経験だけでも察しがつきます。
認知症介護は、本物のプロフェッショナルと普通の意識の介護職との落差は大きいですね。

かつて小沢勲先生が「認知症の人は、認知症の人に対して心を開く人に対して心を開く」と言われましたが、「自分に危害を加えない優しく接してくれる人」は認知症の人にはわかりますから、らんさんだけに奇跡が訪れたのでしょうね。

家族でも、親身に愛情をかける人ばかりではありませんから、そういう意味で「忘れても 幸せ」は誰にでもあてはまるわけではありません。

momoさん、momoさんはご主人様の気持ちを軽くするために言葉をかけられましたね。だから、ご主人様もmomoさんの気持ちを軽くしてくれたのだと思います。お互いに、究極の思いやりですよね。

私は介護後に「新訳 夜と霧」を読みましたが、ユダヤ人強制収容所で生き抜いた著者のフランクルを支えたのは「妻の存在」でした。妻の面影にしがみついて、一縷の希望をもって生き抜いたわけですが、認知症の人も似ているなあ、と思いました。重度であればあるほど!です。

絶対の絆で結ばれる奇跡!
どうぞ、いつかはくるお別れの日まで寄り添ってくださいね。

らんさん

こんにちは。

mikiさんが書かれているのと同じ事を、私も思っていました。らんさんは、心から認知症の方に寄り添ってお仕事をされていたのですね。そんな職員さんに出会えたら、家族としてこんなに嬉しい事はありません。

誰に信じてもらえなくても、分かってもらえなくても、奇跡はそこに存在するのですよね。

蕗の天ぷら、如何でしたか?

mikiさん

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はじめまして(__)

momoさん

こんにちは


突然のコメント お許しくださいm(__)m

認知症の母と同居しているらなと申します。私自身9年前の脳出血で左半身に後遺症があり 家の中は 階段以外は杖なしでなんとか歩行しています。 左腕は全廃です。

四年前に父が亡くなってから母との同居が始まりました。その前から momoさんのブログを拝読させていただいて 力をいただいています。

だんなさまと話すことが出来て よかったですね!

私も 母の認知症の進行に不安と緊張の毎日ですが 記事を拝読させていただいて 希望をもつことができました。救われました。

未熟な介護者ですが(家族も同居しています)母の笑顔をひとつでも増やせるように 頑張っていきたいと思います。


うまく言葉であらわせなくて ごめんなさいm(__)m

感謝しています。

これからも ブログ 楽しみにしています。

長々と乱文 失礼致しましたm(__)m

ありがとうございました(__)


らなさん

はじめまして。

コメントを入れて頂いてありがとうございます。随分前から読んで下さっているのですね。とても嬉しいです。

ご自身のお体とお母様のご心配、色々ご心労の多い日々がおありだと思いますが、あまり無理が過ぎないように、それでも、頑張って下さいね!

お母様にも、らなさんのご家族にも、沢山の笑顔があります様、陰ながら応援しています。

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