夫の様子は、落ち着いている。
眉間の皺はなくならないし、目が開かない時が多い。
だけど、それも夫の一部だと感じられるようになった。
夕食を食べ始めると、大抵穏かな良い顔になってくる。
一日の出来事を色々話しながら、一緒に夕食を食べられる目の前の奇跡に、日々感謝だ。
物言わぬ夫と、相変わらず「会話」をしている。
もっと食べる?
もういい?
お茶飲む?
こんな質問には、首の動きで答えてくれる。
心の琴線に触れる様な話題になった時は、表情で自身の感動を表してくれる。
明日から、3日間、久しぶりに実家へ行ってくる。
本当に、随分久しぶりだ。
母は、91歳になった。
娘は私一人なので、本当はもっともっと頻繁に行って、いろいろ手伝ってあげたいと思うのに、
仕事、夫、メグちゃん、
私を引き止めるものが多過ぎる。
明日から、3日間、おばあちゃんのところに行って来ようと思ってるんだけど・・・
いい?ドキドキしながらそう話すと、夫は小さく頷いてくれた。
良かった。
食後、いつもの様にTVを見ながら寛いだ。
8時を過ぎたので、そろそろ帰らなくては。
じゃあ、行ってくるからね。そう言うと、目を閉じたままの夫は、そのままの顔で、私の手を握った。
行っておいで、と言ってくれたのか、行かないで、と言いたかったのか、
どっちかな?

メグちゃん、いい子にしててね。
どんな表情もかわいいですね!
お利口にお留守番できるよね!