夕食後、お部屋で寛いでいると、新しく施設長になったUさんが入って来た。
新しく・・・と言うのは、昨年、
入居の相談以来、散々お世話になったKさんが、先月で移動となったからだ。
こんなに早くKさんとお別れする事になるとは思っていなかったので、とても残念だった。

何でも話せる温かい雰囲気と、バイタリティー溢れる行動力のお陰で、夫と私の生活がどれ程快適になったことだろうか。
感謝一杯だ。
Kさんと同世代の新施設長Uさん(男性)も、もともとこのホームに居られたケアマネさんなので、我が家の事は良く知ってもらえているから、引き続き安心だ。
手に携帯電話を持ったUさんは、独特の朴訥としたしゃべり方でこう言われた。
「訪問歯科の先生に診てもらいました。専門家なので、話しかけながら、上手に口を開けさせて、特に器具とか使わないで看てもらえました。
今のところ、虫歯はなくて、歯の状態に悪いところはないそうです。とても歯を大切にしておられた方のようですね、と言われました。」
Uさんは、持っていた携帯の動画で、夫が診察を受けている様子を見せてくれた。
夫はしかめっ面をしているが、大きく口を開けて、先生に歯を磨いてもらっていた。
特別に嫌がって、手で払いのけたりすることはなかったそうだ。
Uさんの話しを聞いて、とても安心できたと同時に、驚いた。
夫がまともな歯磨きができなくなってから、いったい何年経つだろう。
下手をすれば、10年近く経つかもしれない。
少なくとも、ここ数年は、歯磨きなどどうでも良い事だった。
そんな事より、もっともっと大変な出来事に翻弄されていたので、気にはなっていたが、歯磨きまでまともには手が回らなかった。
一年前に、今のホームに入って生活が落ち着いてから、ようやく歯に気が回るようにまでなった。
ここでは、毎食後歯磨きをして頂いている。
夫があまり口を開けないので、中々上手には磨けないけれど、出来るだけの事はやって頂いていると思う。
そして、歯を磨いた後に、歯磨きラムネ(自前)を口に入れてもらっている。
歯医者さんが言われるように、もともと夫が歯を大切にしていた人かどうかは、今ひとつはっきりしないが、発病12年目にして、歯の状態が良いと言われたことは、一つの奇跡にも思える。
職員さんたちの心の篭ったお世話、ラムネ、そして、今尚健在の素晴らしい咀嚼力、嚥下による栄養状態の維持、
こんな事が、上手くかみ合って(歯だけに)、夫の歯の健康が維持されているに違いない。
本当に、良かった!

歯磨きラムネ 初めて知りました。そんな便利な物があるのですね。私はまだまだ 勉強不足だなと感じました。
ご自身の歯の状態が良い人は 介護をしている者にとっても嬉しいものです。義歯はどうしても ずれてきたり、なくしたりと心配ごとが多いから・・・
ご主人 いつまでも ご自分の歯で食べられるといいですね。