せっかく良い顔をしていた夫は、鍋を食べ始めた頃から、目を閉じてしまい、眉間の皺が復活した。

あ~あ・・・・、ま、仕方がない。
こんな時は、排便を疑ってみる。
施設長さんからは、違っていても構わないから、気軽に呼んでくれれば良いと言われているが、
時は、夕食時、
職員さんたちはさぞ忙しくしている事だろうと思うと、出来るだけ確信を持ってからベルを押したいと思う。
当たりの時は、様子を見ていると分かる。
だけど、今日は、何ともはっきりしない様子だ。
お父さん、トイレ行きたい?と、無駄な質問を何度もした挙句、ベルを押してみた。
夫をトイレに座らせるには、二人の職員さんの手を借りなくてはならない。
それも、1人は男性であることが望ましい。
運よく、男女の職員さんが来て、夫はトイレに座ることが出来た。
聞いてみると、昨夜薬を飲んだけれど、出ていないとの事。
これは、出たいに違いない。
無事に座り終えると、私が見ていて、必要に応じてベルを押すことにしている。
ぷくぷくに膨らんだ夫のお腹をさすりながら、
お父さん、頑張って、出してね。
お誕生日の時みたいな大きなプレゼント、今日も頂戴。昼間、お仕事一杯頑張ってきたから、プレゼント頂戴よ。などと、話しかける。
時間が過ぎてゆくが、中々排泄された様子がない。
大体、様子を見ていれば、出たことが分かるし、何より、芳しい香りが漂うので、絶対に分かるはずだ。
せっかく座らせてもらったのだから、何としても出て欲しかった。
どう考えても、閉鎖的なオムツの中で出すより、開放された今、出してしまう方が良いに決まっている。
でも、頑張りも30分が限界で、仕方なくベルを押した。
直ぐに来てくれた職員さんに、
ダメだった見たいです・・・・と言うのも、何だか残念だが、ここから後は職員さんたちに任せて、私は手持ち無沙汰にメグちゃんと居る。
ところが・・・・・
「お尻洗って。」と言う職員さんの声が聞こえてきた。
あれ?出てる?
出てるんですか?「はい、一杯出てます。」
えっ?
驚いた。
一体、いつ出たんだろう?
全然分かりませんでした。大体見てると分かるんですけど・・・それに、臭くなかったし・・・「そうですね、におわないですね。まだありますよ。」
そう言われたので、せっかくなので、トイレの中を覗いてみた。
あ~凄い・・・・たっぷりと存在している。
良かった、良かった、
本当にすっきりして良かった。
それにしても・・・・・
ここまで無臭と言うこともあるんだな・・・・・驚いた。

不思議ですね。
私もやっと慣れてきました。
いやいやだったのが、きれいにしてあげたいと思うようになりました。もちろん手袋あってこそですが・・・