今年初めての帰宅は、朝から気持ちの良い青空だった。
送ってきてくださったのは、施設長のUさん。
助手席の夫は、目が閉じられていた。
リフトがゆっくりゆっくり上がって行くのを待つ間、Uさんに聞いてみた。
最近、昼間はどうですか?そうですね・・目が開いて穏やかな顔をしている時間が増えてきたと思います。
新年会の時も、歌を歌う人が来たのですが、その時もちゃんと目が開いていましたよ。
言葉も時々出ます。そうなんだ・・・・一日に数時間しか会わない私の感じ方と、ちょっと違うけど、それは良かった。
ほんの少ししかめっ面だった夫は、家に入ると、急に笑顔になった。
あ、笑ってる!Uさんと二人で夫の顔を覗きこむと、夫は、とても嬉しそうな顔で笑った。
お家に帰ってきたよ。嬉しい?夫は、はっきりと頷いた。
分かってるんですね。Uさんがそう言った。
夫が、家に帰ってきたことが分かって、嬉しくて笑ったのかどうか、私には定かではないが、その笑顔を見ていると、分かるわけがない、と決め付けてはいけないと感じる。
実際のところ、家の中の風景を、じっと見ている夫の表情を見ていると、自分の家に帰ってきた、と分かっている様な気がする。
今日の夫は、とても調子が良い。
昨日から仕込んでおいたおでんを、美味しそうに食べた後、陽だまりの中でお昼寝をした。

何とも平和だ。
穏やかな夫の顔を見ていると、このままずっと・・・・と言う思いが、いまだに湧き上がってくるが、無理をしない、安全第一、と自分に言い聞かせ、4時過ぎに家を出て、夫の部屋まで送って行った。
車の中でも、ずっと目を開いて前を見ている。
「おかえりなさい」と職員さんに迎えられた夫は、もう一度最高の笑顔を披露してくれた。
その後、トイレに座らせてもらうと、案の定しかめっ面が復活してしまったが、今日の夫は、本当に素晴らしかった。
どうか、こんな時間が、一杯あります様に、と心から願う。
何故なら、
私が、楽に生きて行けるから。
コメント
コメントの投稿