月に一度、ホームから便りが届く。
事務的な書類の他に、私が楽しみにしている一枚がある。
それは、夫の様子を、職員さんが手書きで書いてくださる手紙だ。
今月の手紙を書いてくださったのは、M君。
M君は、夫の入所と同じ時期に、このホームへ就職した若いお兄さんだ。
M君の手紙には、こんな事が書かれていた。
「ベッドを入れてから、夜間帯、良く眠られている様です。食事の際も、入居当時を思い返すと、とても穏やかに笑顔も交えつつゆっくりと召し上がっておられます。」
手紙には、毎月良いことばかり書かれている。
現実は、きっとそんなに良いことばかりではないと思うが、書かれている事が事実なのは間違いない。
M君が、入居当初を振り返ってみて、そんな風に感じてくれることは、とても嬉しい。
夫が
このホームに入って、春が来れば丸2年が経つ。
早いものだと感じる。
夫の病気は、進行性のものであり、必ず必ず必ず進んでゆく。
日々、夫を見ていても、進んでいるなぁ・・・と感じる。
それでは、一年前はどんなだったのかと思って、
過去の記事を開いてみる。
読んで見ると、意外に思うことがある。
「反応が随分鈍くなっている。
今では、目を開けてくれるだけで嬉しい。
小さく頷いてくれるだけで嬉しい。
言葉などと贅沢なものでなくても、声がほんのちょっと聞けるだけで嬉しい。」
あれれ・・・・今と同じじゃないか。
去年の今頃、私は、今と全く同じ事を思っていたのか・・・・。
と言うことは、この一年、夫の病気は殆ど進んでいないと言う事か・・・・?
いや・・・そんなはずは無い。
夫の脳は、この一年で、確実に一年分「無の世界」へ近づいたと感じる。
それに対して、
昨年の今頃、
私の気がかりは、夫の足がむくんでいる事や、足先が冷たくなっている事だった。
だけど、今は、むくみは無い。
体重は、この一年でますます増えて、65Kを超えた。
脳はともかく、体は元気になっている様な気がする。
良く噛んで、良く食べると言う事を、一年間継続できたお陰だと思う。
気がかりな歯も、
週に一度歯医者さんに見てもらい、綺麗にしてもらっている。
夫が「無の世界」に一歩一歩向かっているのは、止め様が無いけれど、まだまだ若い、65歳。
昨日と今日、昼間出かけて、お八つを食べながら、TVを見た。
昨日は、錦織くんのテニス、今日はスキージャンプをやっていた。
夫と並んで、TVを見ながら思った。
病気になっていなかったら、今頃、一緒にテニスもしただろうし、もう数年したら、孫を連れてスキー場にも行くだろう。
山ほどの老後の楽しみ方を知っていたのに・・・・。
一年前よりも、より健康になっている夫の体を知るにつけ、つくづく、残念に思う。
いやいや、贅沢は禁物だ。
日々の平穏な生活への感謝を忘れてはならない。
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