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いつでも里親募集中

nobiさんの所で、先日奇跡が起きた。


nobiさんの喜びは、直球で私の心に届き、読みながら、「良かったね!」と嬉しくなった。


我が家を省みると、最近は、「奇跡」とタイトルをつけたくなる様な出来事はあまりない。


笑ってくれた、食べてくれた、ほんのちょっと声が出た、などの小さな喜びはあるけれど、「奇跡」とタイトルをつけたくなるまでにはならない。


もう「奇跡」のタイトルで記事を書く気持ちになることは、無いかもしれない・・・・と思っていたけれど・・・・。








火曜日の今日、夫はいつも通り帰宅した。


いつも通り、「天ざる」を食べて、いつも通りお昼寝して、


いつも通りお八つを食べて・・・・


いつもと何も変わらない時間が流れていた。



ひるね0210







話は変わって、


我が家には古いピアノがある。


子供が小さい頃に使っていたもので、17年前にこの地に引っ越して来た時に、母屋に置いたっきり、誰も弾く人が無くずっと放置されていた。


私の老後の楽しみの一つになれば良いと思って、最近、そのピアノを我が家のリビングに持ってきた。












話を戻して、


お八つを食べ終わった夫は、しっかりと目が開いて穏やかな顔をしている。


お散歩に出たいけれど、まだ外は寒いので、家の中で、お散歩することにした。


玄関に行って、横の窓から外を眺める。


リビングの窓から眺めるいつもの景色とは少し違う。


ほら、川が見えるね。白鷺、今日は1人で飛んでるよ。


暖炉の前に行く。


お父さんが作ってくれた暖炉だよ。温かいね。


そして、何気なくピアノの前に行く。


ピアノ、ここに持ってきたんだよ。


私は、右手で、ドレミファソラシド♪と鍵盤を叩いた。


夫の表情が、あれ?と言う風に見えた。


ピアノの音に、明らかに反応した様に見えた。


何か弾いてみようか?


私は、夫と並んでピアノの前に立ち、簡単な曲を弾き始めた。


009ぴあの



ドレミの歌、きよしこの夜、旅愁・・・








すると・・・・・・



夫の目から、すーっと一筋の涙が流れ落ちるではないか!







えっ?何?泣いてるの?





驚いた!


本当に、驚いた!!


夫が泣いていると言う現実が、何だか信じられないままに、私はピアノを引き続けた。


何曲か弾き終えて、夫と向き合い、ぱちぱちと拍手をすると、夫は、声にならない声を出して、咽び泣いた。


目の前の出来事が信じられない。


私は、その後も、何度も夫の目から流れ落ちる涙を拭きながら、ピアノを引き続けた。


夫の頭の中で、いったい何が起こったのか分からない。


だけど、確実に、夫の心が、私の弾くピアノの音で揺さぶられている事は間違いない。


小さな手で鍵盤を叩く子供と過した、過去の幸せだった日々が思い起こされたのか、


楽しかった記憶が蘇ったのか、


夫の頭の中で、何かが目覚めている。


流れ落ちる涙を目の当たりにして、感動の嵐が私の心の中で荒れ狂った。


こんな事・・・・あるんだ!


発病してもう直ぐ12年が経つ。


言葉をなくし、歩くことも出来ず、ただただ、車椅子に座って一日を過している夫だけど、何もかも分からなくなってなんかいない、


心の中心部分の、夫として、父親としての崇高な精神は、未だ健在なのだ。








ピアノを弾き終えて、夫を見た。


夫は、泣き顔のまま目を閉じている。


良かった?


そう問いかけると、今度は、その泣き顔が笑顔に変化して行った。


目を閉じたまま、顔をくしゃくしゃにして、笑った。


こんなに喜びに満ち溢れた笑顔は、病気になって以来、一度も見たことがない。


もっと弾こうか?


夫は、首を横に振った。


もういいの?


すると、夫は、


いい


と、言葉で答えてくれた。




こうして振り返って書きながらも、この一連の出来事が、夢の中の出来事の様に思える。


夫は、きっと大きく感情が揺さぶられて、とても疲れたのだろう。


二人だけのコンサートを終えて、夕方、ホームに送り届けるまで、じっと目を閉じたままだった。





奇跡は、忘れた頃にやってくる。


どんなに病気が進んでも、「何もかも分からなくなった人」になることは、きっと、最期まで無いんだと思った。



精一杯の泣き顔と、精一杯の笑顔で、自らの意思を表現してくれた夫に、感謝。



かんどう0210










コメント

本当にびっくりしました。ご主人も目は見えているし耳は聴こえているのだからきっとそこから何かを感じ取っているのだと思います。でも言語能力や認知能力が失われているので感情を表現することが難しくなっているのですが、今回は涙で感情を表現することができたのでしょうか。
 娘のお友達も事故がきっかけで植物人間の状態になってしまったのですが、東北大震災のニュースをきいて涙を流されたそうです。
人間の脳についてはまだまだわからないことがいっぱいありますね。

momoさんのピアノがご主人の心の琴線に触れたのですね。まるで映画みたいに素晴らしい。今日私はパーソナルソングという映画を見てきました。認知症の患者に若い頃好きだった音楽をipodからヘッドフォンを通して流すと今まで生気のない顔をしていた人達が一瞬で晴れやかになり体が動く奇跡が何例も紹介されていました。1000ドルの薬より40ドルのヘッドフォンの音楽の方がずっと効果的だけれどなかなか国はその補助金を出さないとも言っていて音楽を施設に届ける運動をしている人たちがいるという映画でした。人は産まれる前からお母さんのビートを感じて形成され脳はずっとそれを覚えているそうです。私も最近夫の好きだったプレスリーのラブミーテンダーをよく歌っていますがやはり本物のCDの方が効果がありそうですね。ラジカセは重いのでヘッドフォン買おうかしらと思いました。

心に届いた音

音楽は素晴らしいですね。
ピアノの音がご主人の琴線にふれたのでしょう。生の音は違いますね。

いつも、応援しています。
これからも、たくさんの音楽がご主人に届きますように。

ルッコラさん

我々も過酷な運命ですが、若くして植物状態になられたお友達やそのご家族は、もっともっとお辛い事でしょう。

忘れた頃にやって来た奇跡で、また少し充電できました。あと一息で春が来ます。

それにしても、脳は不思議です。何時の日か解明されて、この病気が完治できる事を!

ご無沙汰いたしました。ブログはずーっと拝見しています。
心の真ん中にいるご主人様にお会いできてよかった。うれしいです。

認知症の父から教えられた奇跡の時間ですが、母は最後の1ヶ月(昨年3月に亡くなりました)言葉はほとんどでませんでしたが透き通るような笑顔を私にくれました。体も心もつらく笑顔なんて無理なはずなのに・・・なんて綺麗な笑顔と思いました。きっとあれが母からの奇跡の時間だったのだと今思います。家族や愛する人へはいろんな形で気持ちを伝えられるものなのだと思いました。
私も両親を見習って生きていかねばと思います。

marikomさん


音楽が好きだった夫は、今でもCDをかけると、体の何処かが反応します。なるほど・・母親の胎内で育まれたものが脳に染み付いているんですね。

本当に、高価な薬より、余程効果のあるものが、身近にありますね。私も、夫が病院に居た頃は、バッグに入る小さなCDを持参して、一緒に聞いてました。

「ラブミ-テンダー」ご主人の心に届きますように!

tamaさん

ありがとうございます。

「生」と言うのは、凄いですね。CDはいつも聞いていたのですが、生の音で、こんなにも反応が違う事に驚きました。

心と身体に届く、音の響きが違うのでしょうね。毎週、聞かせてあげるのが楽しみです。

みるふぃーゆさん

みるふぃーゆさんに教えて頂いた「奇跡の時間」が、又訪れて嬉しいです。

お母様、天国へ逝かれる前に、「奇跡の時間」をプレゼントして下さったのですね。「親を見習おう」と子供が思える事、そんな子供に育て上げた事、どちらも素晴らしいと思います。

最期のその時まで、いつ訪れるかもしれない「奇跡の時間」を、決して見逃さない様に、寄り添って生きて行かなくてはなりませんね。

ありがとうございました。どうぞご自愛くださいませ。


嬉しいですね~

ご主人の心と頭の中は絶対に分かっていらっしゃると思います。

ご自宅に居たい、とうなずかれたこともこの日の事もご自身の意思だと思います。

夫から言葉が無くなってからの事ですが
殆ど電話をかけてきたことのない義姉(夫の姉)から「猫が死んじゃった~」と泣きながら電話がありました。
実の弟が大変な容態でも病院に来ることもなく、自宅に見舞うでもない義姉です。

電話を切ってからベッドの夫に「お姉さんとこのネコが死んだそうよ。お姉さん、泣いてた」と言うと夫が顔をクシャクシャにして泣きました。
離婚して経済的な援助をしてあげていた姉の事を心配していたのでしょう。

けいこさん

ありがとうございます。

夫の場合は、「音」と言う感じるものでしたが、ご主人は、けいこさんの語りかけで涙を流された・・。

けいこさんの言葉を聞き取り、内容を理解された。凄いですね。

夫も、もし同じ位分かっているなら、人対人の交流が出来る喜びがあると同時に、逆に切なさも募ります。

心の中で分かっているんだとしたら、表現できない辛さ、伝えられないもどかしさ、などもあるのかな・・・・と思って。

産まれたばかりの赤ちゃんみたいに、真っ白な無垢にはなれないのかな・・・。本当に、辛い病です。



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