笑顔は、良い。

無条件で、良い。

特に、夫の場合は、最高に良い。

夕方、部屋に入った時は、しかめっ面をしていた。
最近にしては、珍しくしかめっ面でのスタートなのだ。
ほうれん草とシメジと豚肉だけの、簡単な鍋で、二人きりの夕食が始まる。
目を閉じているときは、TVを消して、CDをかけながら食べる。
網戸にした窓から、心地よい風が入ってくる。
今日はね・・・・と、一日の報告をする。
その内に、目が開いて穏やかな顔になる。
最近は、食べ終えても、まだ外が明るいことが多いので、散歩に出たくなる。
だけど、止める。
散歩をしたいのは、私であって、夫にとっては、どちらでも良いのだと思う。
それに、私も、年相応に疲れている。
で、CDを消してTVを点けて、二人並んで見る。
台所に行って、デザートに桃を剥いて来る。
イチゴが終わって、桃とスイカと、そろそろブドウの季節だ。
夫は、果物をとても贅沢に食べている。
多少高くても、絶対に美味しいものを買うことにしている。
元気だったら、老後、二人で海外旅行にでも行っただろう事を思うと、果物は、高くても・・安い。
今日の桃も、甘くて美味しかった。
一個全部剥いて、私は3口、残りは全部夫が食べる。
食べ終わって、じっとTVに向かっていた夫が、突然、笑った。
驚いた私は、夫の顔を覗きこんだ。
声が出そうなほど、嬉しそうに笑っている。
本当に、いい笑顔だ。

今日の夫は、何回も笑った。

TVでは、
「VS嵐」をやっている。
もう、偶然とは思えない。
この番組の、何かが夫の笑いのつぼに嵌っている事は、間違いない。
笑ってくれれば、それだけで本当に嬉しい。
そして、私が更に嬉しい訳は、
「お気に入りの番組を見て笑う」
そんな、普通の人みたいな一面を、夫がまだ持ち続けていてくれる事が分かったからだ。

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