夫は今日もいい顔だ。
お日様が出ていて暖かいけれど、風が強い。
窓の外に見える幟が元気にはためいている。
こんな日は、外に出ると、せっかくのいい顔が風にさらわれてしまうかもしれない。
それは勿体無いので、今日はお部屋で過ごす事にした。
大体、散歩に出たいのは、夫ではなくて私の方なのだから。
ショパンを聞きながら、時間を過ごす。
する事は何も無い。
友達にメールしてみたり、夫のベッドで寝転がったりしながら時を過ごす。
「時を過ごす」って、何だか、とても贅沢な響きだ。
夫のいい顔は何時まで経っても崩れない。
憂い無く、時を過ごしている。
そんな夫の、穏やかな顔を見ていると、つい話しかけたくなる。
ねえ、お父さん、もう直ぐ結婚記念日だね。
40年だよ。すごいね。momoさんと結婚して良かった?momoさん好き?夫は、相変らずいい顔のままだけど、お返事は、ない。
もちろん返事を期待しての話しかけではない。
お父さんは、幸せな人生でしたか?何気なく聞いた。
聞いたというより、私の独り言だった。
ところが・・・・・
夫が、首を縦に振ってくれたのだ。
うん、そうだよ、
と言わんばかりに。
私は、とてもびっくりして、何だかドキドキした。
そうなんだ・・・・夫は、自分の人生を幸せだと感じているんだ。
良かった、
本当に良かった。
幸せは、それぞれの心の中にあるもの。
周りから見て、どんなに不幸な人生に見えたとしても、本人が幸せだと感じることが出来れば、それは幸せなのだ。
反対も然り。
良かった。
そんな夫と40年一緒に過ごしてきた私、
もちろん、
幸せです。
この先、夫と共に静かに時を刻んで行きたい。

ちっちゃくしたから良いかな?
お父さん、顔出しちゃったよ。
コメント
管理人のみ閲覧できます
コメントの投稿