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いつでも里親募集中

「着いたよ。さあ、降りよう。」

ほっとして車から開放されたのはどうやら私だけだった様で、ヒロくんは、車から降りたものの、ここはいったい何処?と言う不機嫌極まりない顔をしていました。


都会の真ん中にあるSクリニックの周りは、毎日ヒロくんと私が目にしているような、山や川や緑の代わりに、背の高いビルが林立し、野鳥のさえずりではなく車のクラクションが響いています。

6階建てのビルになっているその病院は、ヒロくんが通っていた日赤にある広々としたロビーや延々と続く廊下と違って、一目で全体が見渡せるこじんまりした造りでした。

何もかもが、日頃目にする事の無い「都会」なので、ヒロくんのみならず、すっかり田舎のおばさんが板についている私も、どっと疲れが増します。

一階の総合受付で、手続きをしている間にも、ヒロくんの状態はどんどん悪化して行きました。

二階でお待ちください、と言われ、エレベーターで上がり、扉が開いた瞬間に、私は、これはまずいと感じました。

狭い廊下に溢れんばかりに人・人・人・・・・・・

ヒロくんの表情はたちまち強張って行き、「ここはどこ?なんでこんなとこにきたんだ?」と、パニックに陥りました。

内科の受付をケンに頼み、私は出来るだけ人が少ない廊下の隅にヒロくんをつれて行きました。助手を連れてきて本当に良かった。一人では、この時点で完全にギブアップです。


ヒロくんのパニックはなかなか収まらず、痩せこけて落ち込んだ眼窩でじっと私を見つめて、・・・・・「ひどいよ。あんた。」と言うではありませんか。

「あんた」と言われたのは、結婚33年、初めてなので、少々ショックでしたが・・・・・これも病気のせい。


そして、それと同時に、私がますます疲れてしまった理由は、周囲から寄せられる、静かな視線です。


このクリニックには精神科はないので、待っている方たちは、そういう患者を目にすることに慣れていないのでしょう。

きっと、まだ若い旦那さんのおかしな言動にさぞ面食らったことだと思います。

興味津々だけど、気がつかない振りを装う沢山の視線が降りかかってきます。そんな事全く気にならない程の図太さがほしい所だけど、残念ながら私は小市民。

あ~、看護婦さんが気を回して、どこか別の部屋へ連れてってくれないかしら・・・・

いっそ、豹柄の洋服を着た関西系おばちゃんから「だんなさん、ぼけてはんの?大変やなあ・・・。」と、大きな声で話しかけられた方が、気が楽になるわ。

そんな事を思いながら、一階と二階を行ったり来たり、行ったり来たり、立ったり座ったり歩いたり、ジュースを飲ませたり・・・・・

それでも、時間の経過と共にヒロくんもやや落ち着きを取り戻し、何とか椅子に座って待っている事が出来る様になりました。

ケンに、「受付の人に事情を話して、出来るだけ早く診てもらうように頼んできて。」と言いましたが、ようやく呼ばれたのは、11時の予約から45分後でした。


電話で予約した時に、これまでの経緯を書いてきてくださいと言われていたので、事前に受付に渡し、Yさんからの紹介である事や、我が家の現状は先に先生にお知らせしてあります。

6年前から、現在に至るまでの経過と、処方された数々の薬の一覧、そして、今、私が思っていること、これから先どうしたいか、万感の思いを込めた3枚のお手紙です。




Yさんが全幅の信頼を寄せているというS先生は、優しそうな笑顔で私たちを迎えてくださいました。それだけで、患者はほっとするのです。日赤の姫ちゃんには悪いけど、やっぱり医者はこうでなくっちゃ・・・・


S先生は、まず聴診器をヒロくんの胸に当てられ、次にベッドに横にならせて、お腹を押したり撫でたり・・・・・・うん、悪いところはなさそうだ。


そして、最近の急激な食欲不振の原因をまず探しましょうということで、お腹のエコー、肺のレントゲン、それから、平成15年以来一度も撮った事がないので、頭のCTを撮って見ましょうと言われました。

ケンが、「アナフラニールの副作用という事はありますか?」と質問すると、「それを考える前に、まず内科的に悪いところがないか調べるのが先ですね。検査して、悪いところがあれば、それを治せばいいのですよ。」と、優しく言われました。なるほど。

そして、ヒロくんを見て、「まだもうちょっと早いような気がするけどなぁ・・・」と独り言のように言われました。

それは、私が先に渡しておいた手紙の中に、「もし、もうそういう時期に来ているなら、薬を飲ませるのを止めて、自然に任せたい、それが本人にとって幸せなのだと思う。」と、書いていた事に対しての感想のようです。

それから、言われた通りに、エコー、レントゲン、CTと回りました。その頃には、最初のパニックもすっかり治まって、ヒロくんが大人しく検査を受けてくれたので、とても助かりました。



しばらく待っていると、全ての結果が出揃い、再び私達はS先生と向かい合っていました。






続く・・・

コメント

いよいよ診断ですね

まだ早い。
私もそう思いますよ。

いい手だてが見つかっていますように!

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