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いつでも里親募集中

夫の部屋に着いたのは2時半頃だった。


ファイルを見ると、昨日の夕食はやはり中止となっていた。


だた、H先生の指示で熱が7度五分以下なら、今日の朝食から再開となっていて、


今日は、朝も昼も食べさせてもらっていた。


お風呂は流石にパスだった。


まあまあ、調子は悪くない。


構わず、ぜりーを二個食べさせた。


大きく口を開けて次々要求してくれるのは、気持ちが良い。


夕方来られた看護師さんが言われた。


「お父さん、漸く戻ってきたところですよ。今回は、H先生も慎重になられているみたいです。」


夫が戻ってきたと言うのは、天国への階段から戻ってきたという事。


「ここしばらくで何かがあると言うことはないから、心配しないでね。」


と、看護師さんはにこにこ笑いながら部屋を出て行った。


夫は、残りの人生をどんな形で締めくくろうとしているのだろうか。


先の事を色々考えたこともあったけど、今はもうあまり考えない。


今のこの瞬間を夫と共に穏やかに過ごせているなら、それが全てだ。


過去の壮絶な地獄の一幕も、今の穏やかな時間も、何もかも夫が歩むべき道だったんだと思える。


人生とは偶然を必然に変える過程である、


と、ある悲惨な道を歩まざるを得なかった人が語っているのを聞いたことがある。


夫がこの病気になったのも、何もかも必然だったのだろう。


私の人生も必然。


夫に寄り添って、夫を見送って。


3月3日に、6年ぶりに肺炎を起こしてからのこの2か月、


夫に対して、もういいんだよ、と思う自分にちょっとびっくりする。


生きていてくれることは嬉しい。


そこに居てくれて、温かい体があって、まして食べてくれると、ただそれだけで至福の時間が過ごせる。


生きていてほしい、


その純粋な気持ちの片隅に、もういいよと言う思いが芽生えている。


夫は、十分に生き抜いた。


苦しい事、悲しい事、絶望的な事、山ほどあったけど、それにも勝る楽しい事、嬉しい事、やりがいのある事に満ち溢れた人生だった。


やりたい事をやりたい放題やった夫だった。


だから、ここから先も、やりたい様にやればいいよ。


穏やかな顔で目を開けている夫に、



お父さん、もう、頑張らなくてもいいからね。私は大丈夫だから。




そう言うと、夫は小さく頷いた。


もう滅多にそんな風に意思表示をすることは無くなっていたのに、私の語り掛けに、ちゃんと頷いた。


夫は、この世での役割を終えたと思った時に、天国へ登ってゆくのだろう。


それがいつかは、私には、分からない。


分からないから・・・・・


今のこの一瞬が、


たまらなくいとおしく、


貴重な一秒一秒の積み重ねだと感じる。















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