夫が施設から帰ってくる時、酸素も一緒に着いてきた。
枕もとに設置する大きな器械と、車いすで使うためのリュック型の酸素ボンベだ。
施設では、どちらも時々使っていたので、引き続き家でも使うだろうと言うことで、当たり前の様に連れてきた。
と言うものの、本心は嫌だった。
それがあるだけで、リビングがちょっとだけ病室っぽくなってしまうし、鼻にチューブを付けた姿は、やっぱり、重病人に見えてしまう。
幸いなことに、家に帰ってから、夫がそれを使うことは一度もなかった。
料金体系が月締めとなっているそうで、H先生と相談の上、6月で解約する事となっていた。
万一、今後必要になったら、と言う思いが瞬時過ったけれど、多分それはないだろうと思った。
ない、と言うのは、万一があっても、使わないと言う事。
穏やかに眠りゆく夫に、無理やり酸素を吸わせる事もないだろう、と言う思いだ。
もし、苦しそうなら、その時はH先生に相談すればよい。
何らかのやり方で苦痛を取り除いて下さることは約束済みだ。
そんな訳で、我が家のリビングから酸素が撤去された。
ほんのちょっとだけ広くなったベッドの頭の方に、痰の吸引機が置かれたワゴンを入れた。
これもいつかお片付けできたらと思うけど、
さすがに、これは最後まで必要なんだろう。
吸引回数は、多くはないけれど、これがないと、出てきた痰をごっくんしてしまう。
歯医者さんによると、飲み込むのは問題ない、気管に詰まるのが怖いのだと言われる。
確かに、飲み込む分には問題ないのだろうけれど、吸引が遅れて、ごっくんしている夫を見ると、
あ~、そんなもの食べなくても、もっと美味しいものあるよ、と言いたくなる。
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