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10月29日朝、


夫の呼吸に変化はないように見えた。


口を開いて、肩が上下した早い呼吸だ。


表情にも変化はない。


楽そうに、眠っている。


オムツを替え様と思ったら、おしっこは出ていなかった。


違和感があったのは、おちんちんの長さがいつもの半分ほどに短くなっている事だった。


なんで?と思った。


お腹もぺちゃんこになっている。


丸3日何も食べていないから、当たり前か。


お腹と背中がくっ付くぞ、の歌が頭に浮かぶ。






2時半から臨時の訪問看護が入った。


家に帰ってきてからずっとお世話になってきたIさんだ。


Iさんをお手伝いしながら、夫の体を綺麗にした。


木曜日以来お風呂に入れていないので、ありがたい。


シーツも洋服も全部替えてくださると言うので、用意をした。


きっと、これが生きている間に着る最後の服になると思って、夫に似合いそうなシャツを選んだ。


裸になった夫は、全体的に小さくなっていた。


おちんちんは半分くらいに縮み、お尻も子供の様に小さくなっていた。


最期は、体の中の不要なものを全部出してしまうので、そうなるらしい。


ただ、褥瘡は良くなっているように思えて、不思議だった。


振り返れば、22日の月曜日に、軟らかい便がたっぷり出たのが、終わりの始まりだったのかもしれない。


胸はあばらが浮き出し、「お父さん、理科室の骸骨みたいだよ。」と言ってしまった。


「枯れる」って凄いなと思う。


綺麗だったお花が最後は枯れて行くように、人間の体も「枯れる」んだと思った。


呼吸が変わらないので、もう少し行けるかと思っていたけれど、「枯れている」夫の体を見て、


そうなんだ・・と思った。


Iさんは、念のため、と言って、夫のお尻に指を突っ込んで探ってみるが、便は全く残っていなかったそうだ。


こんなに何も残っていないのは、珍しいですよ。


そうなんだ・・・。


手足の先が冷たくなり始めていた。


最期は、体の中心部分に熱が集中するのだそうな。


昨日まで温かかった指先が、蝋の様に白く、冷たくなっている。





今晩、かもしれませんね。


と、Iさん。


はい、いつでも。


と、私。


夫は、全身綺麗にしてもらって、髭を剃ってもらい、歯まで磨いてもらって、ピカピカになった。


きれいになりましたよ。


なりましたね。お父さん、今晩逝かなくっちゃいけないみたいだね。


そんな風に、いつもと変わらない空気でしゃべって、ふと、夫を見ると、


何だか、笑っている様に見えた。


「まったく・・・バカなこと言って・・・。」


そんな声が聞こえてきそうだった。


後から思うに、Iさんは、夫が今晩逝くことが分かっていて、まるで「湯灌」の様に、全身を綺麗にして下さったのではないだろうか。









Iさんが帰られてから事務所へ行った。


一仕事して4時半頃家に戻った。


家に入ると、いつもまず、玄関から遠目に、夫ののど仏を見る。


上下していれば、生きてる、と思って、安心して傍に行く。


でも、その時は、夫を見て、あれ?と思った。


呼吸が・・・・変わった。


いつもと違う。


一見、穏やかな落ち着いた呼吸になっている様に見える。


でも、直ぐに、


H先生が言われていた「ゆっくりした呼吸」に移行したんだと分かった。


ベッド脇に座って、顔を覗き込む。


身体は、温かい。


ふと気が付くと、夫が目を開けている。


ほんの少しだけど、確かに目が開いてこちらを見ている。


私は、真近で顔を見せて、


お父さん、目開いてくれたの?ありがとう!


もう二度と目が開くことは無いと思っていたのに、再び夫と視線を合わせることが出来て、喜びで満たされた。


大好きだよ、愛してるよ、幸せだよ、ありがとう!



夫がくれた最期の奇跡の時間だった。


夫は、私の言葉を聞き届けてくれたのか、再び目を閉じた。


じっと傍に座って、額に手を当て、ゆっくりになった夫の呼吸を眺めていた。


ほんの10分ほどで、下あごを突き出す様な呼吸に変わった。


これだ、本で読んだ「下顎呼吸」、


H先生は、こうなると一日位です、と言われていた。


でも、先生の予測は、ここでも大外れだった。


ほんの5分ほどで、夫の息は、徐々に消えていった。


止まったかな、と思うと、また息をして、


止まった?いや、まだ、


そんな息を何回か繰り返した後、止まった。


止まった?


本当に止まった?


それほど、夫はそーっと旅立って行った。


旅立ちのはなむけに、何度も


ありがとう!バイバイ!ありがとう!バイバイ!


と、言葉にして送ってあげることが出来た。


額に当てがった手は、ぬくもりを感じたままだった。


でも、夫の呼吸は、間違いなく止まった。


死んでしまったんだね。


とうとう、本当に逝ってしまったんだね。


涙は、出ない。


時計を見ると、5時15分。


仕事終わりの息子たちが、続々と帰ってきたけれど、もうお父さんは旅立った後だった。


夫を、自宅で、たった一人で見送りたい、


これは、ずっと前からの私の夢だった。


昼間、Iさんと話していた。


ここまで来たら、最後の旅立ちの瞬間を見届けたいんですよね。



そうですね、でもそれはなかなか難しいことで、大抵は気が付くと亡くなっている場合が多いんですよ。


夫は、この会話を聞いていたに違いない。


そして、最期に私にプレゼントしてくれたのだろう。


自分を見送ると言う、奇跡の時間を。







コメント

ああ~本当にとうとう‘‘‘。とても寂しく身近な身内を亡くしたような思いで29日のブログを読んで泣きました。でも穏やかな幸せな最後で本当に良かったと心から思えてそして、やっぱり泣けました。わが家もそうありたいと願っています。momoさんのように夫を見送ることが出来る様にlet's enjoy the介護を続けられるようにがんばります。ブログでmomoさんとご主人(ヒロくん)に出会えたこと、本当にありがたかったです。心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

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