衣料品店「しまむら」が好きで、主にそこで洋服を買う人の事を巷では「しまらー」と呼ぶそうです。
それなら、ヒロくんは立派な「しまらー」と呼んでも良さそうです。
以前は、ユニクロ大好きだったのですが、車で15分ほどかかるユニクロさんまでは、最近はたどり着く自信がないので、ずっとご無沙汰していました。
そこで、10分ほどで行けるしまむらさんに行き先を変更したところ、何故かとっても気に入って、今は立派な「しまらー」と化したヒロくんなのです。
ずっと前から、落ち着きがなくなり身の置き所をなくしたヒロくんに対して、効果のある言葉は「ダイエー行く?」でした。
先日の事、いつもどおりダイエーへの逃避行をした私ですが、駐車場に車を止めて、お店に歩いて行く途中、ヒロくんの様子がどうもいつもと違う事を感じました。
周りをきょろきょろ見ながら落ち着きがなく,
「おかしいんじゃないの?」と言います。
「え?だって、ダイエー行こう、って言うから来たのよ。ほら、ここダイエーでしょう。いつもと同じでしょう」と、言っても、ヒロくんの様子は何か変です。
嫌だわ・・・お店の中でおかしな行動でもしたらどうしようか・・・・などと思いつつ、ふと思いついて「しまむら 行きたいの?」言って見ると、「そう、しまむら」と急に正気に戻った様な感じになりました。
元々ヒロくんは、しまむらに行きたかったらしいのですが、「しまむらにいきたい。」と言う言葉が出なかったのでしょう。
そこで、ダイエーからほんの数分のところにあるしまむらさんに向かいました。
「しまむら」と書かれた赤と白の大きな看板が見えてくると、ヒロくんは嬉しそうです。
ふと・・・・「しまむら」って、読めるのかしら?と聞いて見たくなりましたが、そんな野暮な事は止めました。
そんな「しまらー」のヒロくんですが、お店の中では、やはりゆっくりとショッピングを楽しむと言う事は出来ません。
まるで、時間がない人みたいに、あわてて歩き回り、何とか気に入ったものがゲットできると、急いでレジに向かいます。
会計が終わるのを待っている間に、私は小さな声で、「今、お金払ってるからもうちょっと待っててね。」と何回も言わなくてはなりません。
でも、「しまむらで好きな物を買って嬉しかった」と言う思いは、家に戻っても続いています。
ヒロくんが気に入って買い物にいけるお店が、まだある、と言う事に喜びと安堵を感じます。
いつまで続くか分かりませんが、行きたいって言う間は、いつも行こう、と思います。
私が、密かに嬉しいもう一つのわけは・・・・しまむらさんは・・・・安い!
何を買っても、びっくるするほど安いので、ヒロくんが手に取った物の値段を気にしなくて買うことができるのです。
おかげでヒロくんは、とても衣装持ちになりました。
この話には、おまけがあります。
事務員のOさんが、「社長さん、そのフリースとても良い色ですね。」とヒロくんが着ていた紫色の上着に話題を振ってくれた時のことです。
私「しまむらで買ったのよ。900円よ。安いでしょう。このセーターもしまむら。1,470円だったのよ。」
と、その時、
おばさん二人の会話を聞いていたヒロくんが、
「そんなこといわないほうがいいよ。」と、笑顔で言ったのです。
私はあわてて、「あ、そうね・・じゃあ、1万円したって言っておこうか・・」
と、なんだかものすごく嬉しくなって言いました。
実に、的を得た言葉でした。
私も、Oさんも、びっくりしました。3人での会話が成り立っていたからです。
ダイエーさんでもしまむらさんでも・・・・何処でもいいから、お気に入りのお店でのお買い物が、出来るだけ長く続けられる事を祈ります。
ヒロくんの気持ちが読めて、お互いにいい時間がもてましたね。
3人の会話も成り立ってうれしいひとときでしたね。
こちらが思うよりしっかりわかっている。
「わからない」ときめつけないほうがいいですね。
母だって、えっと驚くようなことがありますから。
認知症の人をあなどるなかれ。
肝に銘じておきたいことです。
(私も今日からヒロくんと呼ばせてくださいね)