ヒロくんは、無事にデイサービスデビューを果たしたのでしょうか。
平均年齢80?歳、一番若い方でも70代、しかもだんぜんおばあちゃんが多いというNホームさん。
もっとも、Nホームさんに限らずどこの施設でも同じ様な構成だそうですが・・・
ヒロくんはまだ58歳、身長178センチ、少々おなかが出てきたもののスリムな体型は昔のまま、一昔前は石坂浩二に似ていると言われたその顔は、黙って立っていれば、どう見たって認知症の患者さんではなく、施設の所長さんかなんかに見えるはず。
まだまだ残っているプライドが傷ついて帰ってきたらどうしよう。
「ヒロくん、もうモテモテで大変な事になるかもね。キャー、ヒロさ~んって、おばあちゃんたちに取り囲まれたらどうする?」など、思いっきりテンションをあげて送り出しておいたもので。
帰宅時間が近付くに連れて、私はドキドキソワソワして、我が家の愛犬シロを散歩させる振りして、家の前を行ったり来たりしていました。
坂の上からNホームさんの車が下りて来て、我が家の前に停まりました。運転席から職員のおじさんがニコニコ笑いながら降りて来ました。確か、見学に行った時に居た人だ。
「お変わりなく過ごされましたよ。」・・・・まずまず、安心。
その後、ヒロくんが後部座席から降りて来た時の表情を見て、大きな大きな安堵が私の心に広がりました。とても、穏やかな表情。久しぶりに見る穏やかな顔。心の中で張り詰めていたものが一気に溶けてゆく感覚でした。
何をして過ごしたのか、お昼ご飯は何を食べたのか、皆さんとどんなお話しをしたのか・・・聞いてみたいことは山とありましたが、そこはぐっと我慢して、「シロちゃんが待ってたよ。散歩いこ。」と黙って歩き始めました。
「いいひとばっかりだったよ。」ヒロくんの口から言葉がこぼれました。
「おふろもはいったよ。」「おふろよかったよ。」
やったー!デビューは大成功だった様です。まだまだ先は分かりませんが、とりあえず私の心の中に、一筋の光が差し込んで行きました。
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