今日こそは言ってしまおう。昨日からそう心に決めて、私は馴染みの番号にTELをしました。
「Nホームです」ケアマネYさんの声が聞こえてくると、ほっとすると同時に、私は、言おう、と決めていたにもかかわらず、言えるかな・・・と言う思いで一杯になりました。
私が、Yさんに伝えたかった事。
それは、もうこれ以上は「無理」です、と言う胸の内です。
もう無理かも・・・・もう限界かも・・・・・と感じ始めたのは、いつ頃からだっただろう?
秋?夏?春?いえ、昨年から?
家庭での限界を感じて、介護保険を申請したのが、昨年の夏。あれから、一年半の時が流れ・・・・・
何度も何度も、もう限界、もう無理、って叫びをあげた事があったけど、それは、全部私の心の中の話。
息子たちには、時々、もう無理だね、って言った事もあったけど、毎回毎回、何とかなってきた。多分、息子たちは、私の中に、「本気の無理」を感じなかったんだろうと思う。
愚痴を聞いてやれば、母はまた元気になる。また乗り越えるだろう、と思ったのかもしれない。
忙しい時期になったからだろうか?愚痴を聞いてくれる息子たちが仕事に専念し始めたからだろうか?
加速度的に変化してゆくヒロくんの状態に、あと一歩足を踏み出せば、超えてしまうところまで「限界線」が迫ってきたような気がする。
このままで良いのだろうか・・・・・今までの様に、気力でここを乗り切ってしまって良いのだろうか・・・・
デイがお休みで、夜勤、日勤、夜勤、を一人で勤め、ヒロくんを乗せたお迎えの車が私の視界から消えた時、私は日々の記録をつけているノートにこう書いた。
「ようやく目の前から消えてくれた」
これで良いのだろうか・・・・・こんな事を記してしまう自分が、このまま突っ走っていて良いのだろうか・・・・
私はとても意地っ張りな人間です。「もう無理」「もう出来ない」は、嫌いな言葉です。
Never give up
いつも、心にこの言葉があって、もうダメだと思った時にも、Never give up.
諦めたら終わり・・・・諦めたらダメ・・・・諦めなければ何とかなる。
この思いで生きてきました。
私は、在宅介護にこだわりを持っている訳ではありません。在宅であれ、施設であれ、夫が一番幸せになれる道を一緒に歩みたいと思っていました。
「施設に入るくらいだっらた死んだ方がましだ。」
病気が酷くなる前に彼が言ったこの言葉が私の頭から消えません。
そして、家にいたい、家が大好き、家でmomoさんと一緒に暮らすのが一番幸せ・・・・・
夫のあらゆる行動、表情がそれを物語っていました。
だから・・・・・・
家で一緒に過ごしてあげたい。ヒロくんにとっては、それが唯一残された幸せなんだと信じて疑う事はありませんでした。
可能な限り努力しました。
書けなくなった名前を代わりに書いてあげました。
読めなくなった時計を読んであげました。
運転できなくなったので、代わりに運転手にもなりました。
おかしな事が分からないように、一所懸命取り繕ってあげました。
出来なくなった仕事を全部、全部・・・・引き受けました。
踏みつけられていた

も黙って片付けました。
お尻も拭いてあげます。
殴られても殴り返したりしません。
momoさんすきじゃない、でていって、と言われても出て行きません。
出来る事、思いつく事・・・全てやってきました。
諦めるのは嫌だったからです。家で暮らしたいと思っている夫のために、私が諦めたら終わりだと思ったからです。
そして、諦める事は、自分が自分に負けることになってしまう。それでは、介護が終ってもなお生きてゆかなくてはならない自分の残りの人生を豊かに過ごす事が出来ないかもしれない。
介護を終えた時に、自分に向かって、「本当に良くやった。」と心から褒めてあげられる様な、そんな人生でありたい。
でも・・・・・・・
今、私の心の中で、このままの生活を続ける事を「諦める」と言う選択肢が出てきました。
常時見守り、
眠らない夜、
裸でうろつく後姿、
息子たちの前にさらけ出す情けない父親の姿、
荒れない様に荒れない様にと、腫れ物に触るような対応、
それでも、時として激しいせん妄、
おーーい、おーーーーーい!と誰かを呼ぶ声、
深い深い眉間の皺、
そして・・・・・・
自分の人生に絶望してつぶやく言葉・・・しにたい、





疲れました。疲れ果てました。
出来るなら、「私、まだ諦めてないわよ」と言って、もう一度気力を振り絞って頑張りたい。
ここで諦めたら、負け。そんな思いに引きずられているのも事実です。
それでも・・・・・・・
もう、疲れました。
12月は、特別にお願いして受けていただいた「毎日デイ」。
年が明けて、元のペースに戻るとすると、「夜勤・日勤・夜勤」のセットを週に2回こなさなくてはならない。
出来るのか?自分に聞いてみました。
答えは・・・・・「無理」でした。
無理、と答えた自分が情けなくもあり、また、もうそろそろいいじゃないの、この辺でいいじゃないの、ここまで良くやった、と言ってくれる自分もいます。
もう、これ以上は無理です。主人の状態が今のままだとすると、毎日デイを続けていただくか、昼間家で過ごす日があるなら、泊りを増やしていただかないと、もう無理です。今が限界です。
もう無理、もう出来ない、は言いたくないし、まだ出来ます、頑張りますって言おうと思えば言える様な気がします。
でも、これ以上、無理を重ねて倒れたら、周りにもっと迷惑がかかってしまいます。
これから先も、家庭生活と、仕事を普通にやって行く体力と精神状態を維持するには、この辺りが限界です。
こうしてYさんにTELして、無理ですって言える冷静さがある内に、次の段階を考えた方が良いと思うのです。あ~あ、とうとう言ってしまった。一番嫌いな言葉・・・・「もう無理、もう出来ない」
そして、私は自分に別の課題を出してしまった事になる。
「無理の向こう側」を模索しなくてはならない。
読んでいて涙がでました。
がんばってらっしゃいますよ。
ご自分を追い込まないでください。
周りの方々もハラハラしながら見守ってらしたのではないでしょうか?
負けではありません。
momoさんとご家族に良い道が開かれることを心より願っています。