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いつでも里親募集中

K病院へ続く道は、山の中の一本道でした。

都会に住み慣れた人なら、もしかしたら、姥捨て山に向かう様な、悲痛な気持ちになってしまうかもしれません。


でも、私は逆に、この走りやすい山道がとても気に入りました。この道なら、一人で運転するのも、苦じゃないわ。


ヒロくんと一緒に、散々ドライブした家の近くの山道と同じ様なその雰囲気に、むしろ安らぎを感じることが出来ました。幸先は良さそうです。



K病院は、そんな山の中にひっそりと建っていました。


約束は12時。ナビで調べて見ると1時間かからないと出たのですが、心配性の私は、2時間前に家を出ました。ハンドルを握るのは、四男のショウです。



正月休みで家に戻って来ただけだったのに、あまりに悲惨な我が家の現状を目の当たりにして、帰るに帰れなくなったのか、そのまま居ついて、私の変わりに掃除や買物など、出来る範囲の家事を手伝ってくれる様になりました。


夏にリストラされた、フリーの身分が、私には幸いしています。


何とか12月を乗り切ったものの、一番頼りになる長男のケンが動く事が出来るのは、まだまだ遠い春の話。


とても、春まで持たない・・・・これが本音でした。


でも、一人であれこれ動く体力、気力も、正直なところもう残されていませんでした。


いったいどうしたらいいのか・・・・どうなってしまうのか・・・・・



そんな絶望的な思いでいた時、


「家の事で出来る事があったら言って。」と言う、末息子の言葉がどれだけありがたく、ほんのちょっと頼りないけど、私はショウを頼る事に決めました。



そして、1月11日、約束の時間の40分ほど前にK病院へ辿り着いた私は、イメージしていた「病院」とは程遠い雰囲気にまず驚きました。


私が知っている「病院」は、独特の病院らしい香りがあって、廊下には順番を待つ疲れた表情の患者さんで一杯。


時々、白衣の先生が、誰かから声でも掛けられたら嫌だわ、といわんばかりに足早で歩いている。それが、私の知っている「病院」でした。



ところが、K病院の入り口を入ると、廊下には誰も人が居ませんでした。


入り口でスリッパに履き替えるというのも、普通の大きな病院とはちょっと違っていました。


カウンターの内側には、職員さんが3人、静かに机に向かっています。


予定より大幅に早く到着したにも関らず、受付のお姉さんは、相談員のTさんに取り次いで下さいました。


そして、待っている間には、お茶など出して下さったのです。


病院で、お茶を出されたのも始めての経験です。





さて、待っている間に・・偵察です。


病院や施設探しの先輩から教えてもらった事の一つに、「まず、臭いをかげ」と言う事がありました。


不快な臭いが漂っている病院や施設はやめた方が良い、とのアドバイスです。


辺りを見回すと・・・どこもとてもきれいで明るい雰囲気があります。トイレもお借りしましたが、すごく綺麗です。うちのトイレよりずっときれい・・・・・


合格です。




しばらくして出て来られたTさんは、電話の声通りの優しいお姉さんでした。良かった。



面談室で、病院の説明を受けました。(私の記憶に基づいて書きますので、Tさんの説明とは違っているかもしれません)


この病院は、長期療養型なので、MRIなどの機器はありません。もし、骨折したり、癌になったりと言う様な場合は、ご家族と相談の上、必要なら別の病院へ行って頂き、また戻ってくる、と言う形を取ります。


なるほど・・・



短期治療病棟ではないので、緩やかな薬を用いて、ご本人にとってより良い対応をしながら、周辺症状を落ち着かせるようにします。



私の望むところだわ・・・


ただ、ここで療養して頂いても、どうしても攻撃性が収まらないなどの場合は、短期治療病棟がある病院へ行って頂く事があります。


そう言う事もあるのか・・・・



私は、気になる事を聞いて見ました。


他の病院での治療が必要になったりした場合、病院を紹介していただけるのですか?


はい、ご家族とご相談して、提携の病院へお連れします。



良かった、紹介してもらえるんだわ・・・




私の脳裏には、日赤のひめちゃんの言葉が蘇って来ました。


「紹介状は書きますけど、こう言う人を受け入れてくれる所はあまりないので、具体的な病院の紹介は出来ません。まあ・・・皆さん困っておられますよ。」


一人の患者とその家族を、奈落の底に突き落とす言葉でした。







それから、ここでの治療が難しくて、短期治療病棟へ行くと言う事は、良くあるのですか?


私が、この病院へ勤務して9年になるのですが、その間に3人です。


9年で3人・・・ヒロくんが、4人目になる可能性はないとは言えないけど、確率はとても低いんだわ。


それから・・・長期と言うのは、どれ位を言うのですか?


長期と言っても、終身をお約束するものではありません。落ち着けば、特養へ行かれたり、自宅へ戻られたりします。ただ、短期病棟の様に、2・3ヶ月で、次を探してくださいと言う事はなく、年単位で入っておられる方も沢山居られます。


それは安心できるわ・・・・





その後、実際の病棟の見学に行きました。


大きなガラス窓の内側に、お年寄りの姿が見えました。院内にグループホームがあるそうです。


とてもにこやかなおじいさんが私たちの姿を見て、笑いながら手を振っておられました。その柔らかい雰囲気につられて私も手を振りました。



「知ってる人?」ショウが聞きます。


まさか。


近くを通る時もまた、おじいさんが手を振っているので、今度はショウも一緒に手を振りました。


笑顔で手を振ってくれたおじいさんの存在で、とても私は心が明るくなりました。


病棟では、ちょうどお昼の時間で、沢山のお年寄りがお食事中でした。雰囲気がとても明るく、穏やかです。


平均年齢が80代で、おばあちゃんが多いのですが、若年性の方も数人おられるそうです。


個室、2人部屋、4人部屋の病室は、ベッドあり、畳あり、また、マットレスが敷き詰められていたり・・・それぞれの人の状態に合わせて寝具が配置されていました。



会う人、会う人、皆さん(職員さん)が「こんにちは」と明るく挨拶してくださいます。


帰り際、ヒロくんと同い年くらいの男性の横を通った時、その方が、とても良い笑顔で私たちを見ていました。


あ~、なんて素敵な笑顔。


ヒロくんにも、再びあんな笑顔が戻って来る事があるのかしら・・・・・?


この病院に託そう、それが私がヒロくんにしてあげられる最後の事の様な気がしました。




再び、面談室に戻った時、私はTさんに入院の申し込みをしました。


それから、入院を検討するための詳しい聞き取りが始まりました。


病気の前兆を感じた頃の話に始まって、この7年半に渡るヒロくんの状態、私の想い。


家族の話、仕事の話・・・・延々と話が続き、全てを伝えられた訳ではないけれど、私は満足していました。


病院で、こんなにゆっくりと時間をとって親身になって話を聞いてもらったのは、初めてです。


最後に、ご家族のご希望は?と聞かれたので、


本人の苦しみが無くなる事が希望です。笑顔が戻る、など贅沢は言いません。私が誰だか分からなくても構わないから、苦しみさえなくなれば、それで良いです。


私は、最低限、そして最大の望みを言いました。


Tさんは、良く分りました、と言う感じで頷かれ、面談は終了しました。




病院の玄関を入ってから2時間半もの時が流れていました。


玄関まで見送ってくださったTさんに、心からお礼を言って病院を後にしました。


玄関を出て、振り返ると、Tさんはまだこちらに向かって、じっと立ってお見送りをして下さっていました。最後の最後まで暖かい応対です。



他の病院へ見学に行った訳ではないので、比較は出来ませんが、私は、こんなに良い病院がある事に驚いていました。


この、自分の心に、迷い無く入ってくる安心感は何だろう?ここなら安心してヒロくんを任せられる。そう感じました。



病院と言うより、むしろ介護施設の様な感じです。


面会時間に規制は無く、いつでも会いに行ける。会いに行って、お散歩に連れ出すことも出来る。許可があれば、家に連れて帰ることも出来る。ここから旅行へ行ったりする人もいる、との事。



最初に私が辿ってきた一本道は、そのまま希望へと繋がっていました。


ここにしよう、この病院へ任せよう。




たまたま病室に空きがあったのも、神様の采配でしょうか。受け入れ可能かどうかを検討するために、一週間くらい時間が必要との事です。



今、私はK病院からの電話を心待ちにしながら、ヒロくんとの「別れの時間」を楽しんでいます。







hi3
hi

hi2





268
うん、ありがとうメグちゃん


265
それは悪かったねぇ



264
なるといいね。きっとなるよ。






コメント

首尾よくいきますように!

このブログを読んでいるすべての方がほっとされていると思います。

薬のコントロールを受けながらの施設生活(と同じ)になるのだろうと思います。
ヒロクンが安定されるまでは、ひと山も、ふた山も越えなければならないでしょうが、家で体を休めることができるので大丈夫でしょう。

ヒロクンにとっては大きく環境がかわる時期なので、とにかく穏やかに、穏やかに、そのときを待ちたいですね。
首尾よくいきますよう祈っています。

ありがとうございます

とりあえず大きな山が越えられそうなので、ほっとしていますが、ここはまだまだ長い道のりの通過点ですね。

環境の変化と言うのは、大きなストレスになると思いますが、病院の先生を信じて任せることにします。

何とか上手く行く事を祈るのみです。でも、私が夜寝られるようになるだけでも、大きな大きな前進です。ここまで、倒れずにこられて良かったと思います。

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