K2病院は、車で30分で行ける距離にありました。
前日に、ショウがしっかり下見をしているので、迷うことなく行けそうです。
と、言うより、今回はヒロくんを連れて行くので、「迷う」と言う事はしてはならないのです。
昨年の夏に、
S病院に連れて行った時の大騒動が蘇って来ました。
道中、ヒロくんはご機嫌が悪くなる事なく、普通の状態で病院へ到着する事が出来ました。
初めて足を踏み入れる「精神病院」、ちょっとドキドキです。
建物の中に足を踏み入れて、思いました。
あれ?普通の病院と違わないじゃない・・・・
それらしき雰囲気が漂っているわけでもなく、それらしき臭いが充満している訳でもなく、いたって普通の病院、と言う印象でした。
うん、これなら悪くない。
私は、自分で見たことも無い世界なのに、勝手な想像でイメージを決めていた様です。
これでは、逆に自分の世界が狭くなってしまいます。
名前を呼ばれるまでの間に、ちょっとだけご機嫌が悪くなって、足蹴りを食らいましたが、大体においてヒロくんは、優等生で、診察室の中に入ることが出来ました。
良かった、良かった。
私は、どうも12月に
日赤で起こした騒動がトラウマとなって、病院苦手意識が拭えません。
担当の先生は、若い男の先生でした。
ヒロくんは、このA先生が気に入ったようです。
初診以来久しぶりに受けた長谷川式のテストは、見事な零点でしたが、そんな点数よりも、私は、ヒロくんが、先生を気に入った、と言う事実だけで充分でした。
診察室を出て、「いいひと」と言ったヒロくんの言葉が、大きな大きな安心に繋がりました。
ひめちゃんみたいに、ヒロくんのお好みから外れてしまっては、これから先が思いやられます。
たまたま、昨日退院した人がいる、と言うことで、A先生は、5日後の入院を約束して下さいました。
私は、他の病院も検討中なので、もしかしたらこちらからお断りする事になるかもしれませんが・・・・と、ちょっと言いにくい事を言いました。
「全く、構わないですよ。ご家族が一番良いと思う方法を取って下さい。もし、病棟を見学されて、とてもこんな所には入院させられないと思うかもしれないし、遠慮なく言ってください。そうなったからと言って、今後この病院では看られないと言う事はありませんから。」
A先生のこの言葉は、とてもありがたいものでした。
今のところ、とても順調に事が進んでいます。
その後血液検査と、心電図、レントゲン、CT、とヒロくんを連れまわさなくてはなりませんでしたが、比較的穏やかに動いてくれたので、とても助かりました。
ただし・・・・家族の方は外へ出てください、と言われたレントゲン室の中では、ヒロくんが大きな声で喚いているのが、聞こえてきましたが・・・・・
そのまま病棟の見学もしていきたかったのですが、夕方になってしまい、ヒロくんの疲れが見えてきたので、見学は改めて翌日、ヒロくん抜きですることにしました。
30分と言う距離が幸いしています。やはり、近いに越した事はありません。
翌日の病棟見学では、先のK病院を100とすると、K2病院は80位の雰囲気を感じました。
決して悪くない。
だた・・・・K病院とは、一人一人への目の行き届き方が違う、と感じました。
療養型の病院と、治療型の病院では、視点に違いがあるのはやむを得ないので、80点は合格ラインではあります。
見学した時は、ちょうど朝の作業療法とお茶の時間が終って、お昼を待っていると言う時間帯でした。
皆さん、とても大人しく椅子や車椅子に座っておられました。
私は、治療病棟なので、もっともっと激しく動き回ったり、大声を出したりしている患者さんがいたり、あるいは、個室に鍵がかかって、中で暴れている人がいたり・・・・・
ちょっと想像力が豊か過ぎてドキドキだったのですが、雰囲気はとても静かでした。
でも、その静かさが、逆にちょっと気になりました。
もし、ヒロくんが入院したら、同じ様に静かになるのかな?
薬で抑えられて、ここに居る皆さんと同じ様な感じで静かになるのかな?
大人しくじっと座っていてくれればそれで良いと、あんなに切望した日々をすっかり忘却の彼方に追いやって、私は勝手な事を思っていました。
家に戻って、ケンにその話をすると、
「静かなら、それが一番じゃないの。皆で和気藹々と言う事はありえないんだから。」
確かに・・・・和気藹々はありえないわ・・・・
よし!それじゃあ、合格。
この先、特別に事情が変わらなければ、K2病院に5日後に入院させよう。ここで落ち着いてもらおう。
30分で行けるから、毎日面会に行けるわ。
夜8時までが面会時間になっているから、一日に二回行く事も出来る。
それなら、ヒロくんも淋しくないし、私も淋しくない。
そう。
そう、決めたんです。その時点では。
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)