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いつでも里親募集中

K2病院を見学した翌日は、S病院です。



20分位で行けそうです。



道も良く分ります。



なので、初めは一人で行こうと思いましたが、この所すっかりショウをあてにすることに慣れてしまった私は、


「一人の目で見るより、二人の目で見たほうが、良く分かるから一緒に行こう。」と、もっともらしい理由をつけてショウを連れ出したのが、結果的には正解でした。



もし、一人で行っていたら、帰り道には何処か空気の良いところで、しばらく休憩しないと無事に戻ってこられなかったかもしれません。





事前の電話では、とても感じの良い男性が対応してくださいました。



S病院は、地元では有名な山の登山道の入り口に建っていました。


病院の駐車場と登山者の駐車場が同じ場所にあります。


山登りの格好をしたおじさんが二人、歩いていました。


あ、山登りの人だ・・・・私はそう思いましたが、おじさんたちは、


あ、精神病院に来た人だ、と心の中で思ったかもしれません。



S病院は、歴史が古く、30年ほど経っているそうです。


建物はそれなりに貫禄があって、窓には鉄格子が嵌っていました。


鉄格子の所々が、お花の形になっているのが救いでした。


何人かの男の人が、建物の隅の方にたむろしています。


コンビニの前に座り込んでいる高校生たち・・とは、ちょっと違います。


中に入ると、古いけれど、きれいに整理整頓された病院と言う印象でした。


外来がない病院なので、人の姿はありませんでした。


受付のお姉さんに来意を告げると、直ぐに担当のお兄さんに取り次いでくださいました。


お姉さん、電話ではとても感じの良い方でしたが、ちょっと元気がありません。


お兄さんが来られるのを待っている間、私とショウは、いつものテストをしていました。




臭いはないか?



大丈夫です。建物は古いけど、嫌な香りはありません。


しばらくして出てこられた若いお兄さんは、今までのどこの病院とも同じ様に、とても親切でした。


面談室で、これまでの経緯や、現在の状況を詳しく聞かれました。


窓の外には、パノラマの様に山々の景色が広がっています。とても、環境の良い場所です。


山が好きなヒロくんには、向いてるかも、なんて思いました。


何故、けいさんが、あんなにS病院を避けているのか、その時点ではまだ分りませんでした。



大体の聞き取りが終ったのか、お兄さんは、それでは病棟の説明をします、と言われました。



左手の建物の3Fが閉鎖病棟になります。こちらには、アルコール依存や薬物依存の方が入っておられます。同じ建物の2Fが、症状が良くなった場合の開放病棟です。他にも、統合失調症などの方も居られます。

ご主人が入院される病棟は、右手の3Fの閉鎖病棟になります。2Fは開放病棟ですが、今は、ちょっと取り込んでいるのでお見せできません。

これから、3Fの閉鎖病棟にご案内します。

え?認知症の方ですか?入っておられますよ。いろんな人がいます。




お兄さんに着いてエレベーターに乗りました。



古い造りなので、車椅子が一台入ったら一杯になってしまいそうな狭い箱でした。



3Fに着いて、エレベーターを降りたとたんに、私は、けいさんが言われた意味が瞬時に理解できました。









臭いだ!









むっとするようなすえた臭いが、折からの昼食のにおいと混ざり合って、狭い廊下に充満していました。



ワゴンに置かれた昼食のトレーを見て、ショウと私は、無言で顔を見合わせました。



これを食べている夫の姿を想像する事は、胸が苦しくなって出来ません。



廊下の右側には、畳の大部屋がありました。



壁際に折りたたんだ布団がずらりと並んでいて、たった一人だけ、男性が膝を抱えて部屋の真ん中にぽつんと座っていました。



後から、ショウが、30代位に見えた、と言ったこの若い男性の姿に、大きな衝撃を受けました。



彼は、何故そこに居るのだろう?




今までの、どの病院からも感じられなかった独特の「気」がそこには漂っていました。



壁際の布団を、夜になって全部伸ばしたら、殆ど歩く場所がなくなってしまうのではないだろうか・・・・




お兄さんの言葉が続いています。


個室は無いんです。全部大部屋で、男女一緒です。



隣の部屋には、ベッドが縦に横に並べられていて、男性、女性、がごちゃまぜに何人か寝ておられました。




衝撃です。



部屋の中からこちらに向けられた視線を、どう表現したら正しく伝えられるのか、分りません。



あなた誰?と言う、好奇心でもなく、



ここから逃げ出したいのよ、助けて、と懇願している訳でもなく、



「過去」を何処かに置き忘れ、



「未来」と言う言葉の意味を忘れ、



「今」そこに、存在している人たち。



ある意味、悟りの境地ではありませんか・・・・



でも・・・・その「今」が、あまりにも悲しすぎます。



部屋の中から黙ってこちらに向けられてりる瞳の数々。



そのいくつもの視線を、まともに受け取る度量が私にはありませんでした。









狭い廊下を配膳係りのオバちゃんたちが行き来し、忙しそうに働いています。



目が合って会釈をすると、誰?と言う感じの会釈が返って来ました。



見学に来たり、面会に来たりする部外者はめったに無いのでしょうか。



私たちが、そこに居るのはお邪魔の感じでした。



ここがホールで、食事はここで取ります。あ、そっちがお風呂です。


お兄さんの説明は続いていましたが、私はホールやお風呂の中を覗いてみる気にはなりませんでした。




ここを見て何か質問はありますか?・・・・・ないですよね。



独り言の様にお兄さんは言って、エレベーターの方に戻りながら、


見学に来られた方が、今時こんな病院があるのですねぇ、って、びっくりされるんですよ。


と、自虐的に言われましたが、



そうですね、とも言えない私は、あいまいに言葉を濁しながら、一刻も早くこの階から立ち去りたいと願いました。



ご主人が入られるなら、まず今の閉鎖病棟になります。最初に強い薬を入れて、どっと落ち着かせてから、その後少しずつ様子を見ながら、薬を抜いていって、動けるようにします。



あ~、もういいから、早く帰りたい。



相談料3,150円を払って、外へ出ると、私もショウも大きく深呼吸をしました。外の空気はこんなに素晴らしいのに・・・・・・



私は、車に乗る前にもう一度病院の鉄格子を見上げました。



ここに来る事は二度と無いわ・・・・・




帰り道、私はつくづく我が家の幸せを感じました。



身寄りがない方も沢山入っておられるそうですが、諸事情でどうしても家族をあの病院に残してこないといけない人も居られる事を思うと、我が家は、選べるだけ、恵まれている・・・・・と。





家に戻ると、私はすぐにけいさんにTELを入れました。


早くけいさんの声を聞いて、私の胸の内に溜まってしまった滓を浄化したかったのです。




行って来ました、S病院に・・・



はい・・・



けいさんは、私の次の言葉を待っておられる様です。



衝撃でした。



そうでしょう。あそこにヒロさんをおいて来る事は出来ないでしょう。


けいさんは、ほら言ったとおりでしょう、と言う満足げな様子でした。



ええ、最終手段でも使わない、と言う意味がわかりました。

本当は、けいさんには、全部の見学が終ってから報告しようと思っていたのですが、今日のショックがあまりにも大きくて、電話せずにはいられなかったんですよ。




かかって来ると思ってましたよ。S病院を見たら、絶対に直ぐにかかって来ると思ってました。

あそこの病院には、身寄りの無い方への聞き取りなどで、何回か行った事があるのですが、何度行っても、あの雰囲気には慣れる事が出来ないのです。

アルコールや薬物使用で、自業自得だと思って、家族を入れる場合はありますが、それ以外では、絶対に自分の家族を入れる事は出来ないでしょう。




本当に・・・けいさんが言われるとおりでした。自分の目で見てきて良かったですよ。



ええ、こんな近いところにああ言う病院があると言う事が驚きでしょう。なかなか外から見ただけじゃ、本当の所は分らないのですよ。

相談員さんは全部若い男性で、皆一生懸命やっている良い人ばかりなんですけどね。




私は、熱心に案内してくださったお兄さんと、生気の無かった受付のお姉さんの顔が思い浮かびました。



これで、S病院の線は消えました。あと、K3病院とJ病院に行ってきます。


そうですね。五感を研ぎ澄まして、しっかりと自分の目で見て、においをかいで、心で感じ取ってきてください。ヒロさんにとって、一番良い選択が出来る事を祈ってます。



私は、お礼を言って電話を切りました。けいさんと知り合えて本当に良かった、と思いました。






衝撃のS病院。




選択肢の中から、一番に消えました。



それでも、若いお兄さんが一生懸命お仕事しておられるので、5点だけ差し上げたいと思います。



あのお兄さんが、自信を持って自分の職場を人に紹介出来るような、そんな環境に改善される事を、陰ながら祈る事にします。





もし・・・・





失意のどん底にあった私が、真っ先にYさんからS病院の話を貰ったら、そのまま「お願いします。」と言う流れが出来てしまい、感じの良い電話での受け答えに安心して、実際に見学することなく、ヒロくんを入院させる為に、初めてS病院へ行っていたとしたら・・・・





ここからはフィクションです。



入院手続きを終えた妻は、夫を病室まで送って行く。

エレバーターを降りたとたん、妻は、自分の選択が間違っていた事に気がつく。

しかし、失意のどん底にある妻は、そこから這い出す気力は無く、精神病院ってどこもこう言うものだろうと、無理やり自分に言い聞かせて、夫をその場に残して、後ろを振り返ることなく立ち去る。


外に出て、病院の建物を振り返ると、鉄格子の向こう側に、夫の姿が見える。


夫は、必死にこちらを見て、助けてくれ、助けてくれ、と懇願している。


でも、自分にはもう夫を助ける体力も気力も無い。


妻は、そのまま車を走らせ帰路に着くが、目の前に広がるS湖の湖面に、吸い込まれるようにして消えて行く。






こんな小説が書けたかも知れません。





自分の目で確かめることの大切さ、



どんなに大変でも・・・・・・・



絶対に、忘れてはいけません。






























コメント

劣悪な環境

父のとき見学したところより劣悪かもしれません。
古い病棟は、それだけでも拒絶反応です。

誰でも発症しうる病なのに、それだけでなぜこういう環境で生きていかなければならないの?

けいさんのように職務で知りうるか、家族の立場で知りうるか。
社会の表面には決してでてこない現実ですね。

当時は、こういう環境で働いている方が社会の底辺を支えてくれている、と頭が下がりましたが、今では、こういう環境はおかしい、なくならなければならない、と思いますね。

人間としての尊厳をあまりにも無視した環境は人権問題です。

ただ、こういう環境も存在するという事を知っていることは、今後の介護には大きな力になってくれると思います。

はい、

本当に勉強になりました。

なくならなくてはならない環境ではありますが、閉鎖病棟はベッドが埋まっていると言う現実も知りました。

この環境でさえ、必要な人もいると言うことでしょうか?考える事が一杯です。

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