FC2ブログ

プロフィール

Author:momo


最新記事


最新コメント


最新トラックバック


月別アーカイブ


カテゴリ


FC2カウンター


フリーエリア

いつでも里親募集中

先日放送された某TV局の認知症特集。

この手の番組が放映される事を知ると、いつも見たい様な見たくない様な複雑な気分になります。


情報収集としては有意義ですが、見終わった後に、消化されない不純物が心の中に残ってしまうからです。


番組制作の担当者や、出演者の方々は、きっととてもとても気を使って、当事者と家族の神経を逆撫でする様な言葉や態度を使わない様に精一杯の努力をされている事と思います。


気の毒な立場になってしまった人に対して、出来る限りの思いやりをもって接したい。


まして、それが、自分の経験を越えた事態なら、分からないからなおさら気遣いを忘れてはいけない。


そう考えるのが、普通です。それが人間です。それが、思いやりです。



おそらくは、そんな気持ちを持って製作されたであろうこの番組でさえ、当事者である私は、グサッー、グサッー・・・・また、グサッーと、心に刃が刺さるのを、一生懸命堪えながら見る羽目となりました。



録画して再度確認したわけではないので、被害妄想的に私の頭の中で言葉や映像が膨らんでしまっている可能性があることをお断りしておきますが・・・



しょっぱなから、「頭を使わないからなるんだよ。身体を使わないからなるんだよ。」と言う、白衣の先生の断定的な言い方は・・・・・番組の視聴率を認知症家族分引き下げるのに十二分に貢献していました。


その先生の持論なら仕方がないけれど、TVで言うのはNGです。


知らない人に誤解を与えてしまいます。


ヒロくんは、一生懸命頭を使っていました。


身体も人一倍使う働き者でした。






また、お涙頂戴番組ではあっても、バラエティの要素もあるのか、笑いを誘う発言も目立ちました。



「私、そろそろきてるのよ。」


「あなた、どうしても私をボケさせたいのね。」


ベテラン女優P子さんの発言に、わーっと皆が笑いましたね。


何故?そこで笑うの?


いったい、何が可笑しいの?





これが、他の病気だったらどうですか?


「私、オッパイにしこりがあるのよ。」


「あなた、どうしても私を乳がんにさせたいのね。」


これでも、同じ様に笑いますか?



やっぱり「ボケ」だからこそ、笑いのネタにされるのですね。



たった一つ大きな勘違いがあって、笑いのネタにする人、それを笑う人、その中に当事者はいない、と言う事。



認知症の家族を抱えた私たちは、TVと言う公の場で、多くの人が笑っているその陰で、どれだけ心が傷つけられているか分りますか?


まして、まだまだ初期段階で、TVの内容もしっかりと理解できる患者さん本人が見ているかもしれない、という事を考えた事はありますか?








番組は進み、最後にP子さんが言いました。


「主人に、もし私がそうなったらどうする?って、聞いてみたの。」


彼女のご主人が何て答えたのか、私は興味深くTVに見入りました。


「そしたら幸せじゃないか、って言うのよ。お前は何も分らなくなるから幸せだ、って言うの。はははは・・・」


また、笑いです。


P子さんを囲んで、司会者始め出演者の皆さんが和やかな雰囲気で笑っています。


気の毒な病に冒されてしまった人たちに精一杯の思いやりを持っていますよ、といわんばかりに。


番組としては成功ですか?


教えてあげましょう。当事者は、ここでは決して笑いません。



何も分らなくなって幸せ・・・・・?



その病気になった事がない人が、何故?その様に言えるのですか?



少なくとも、私とヒロくんのこれまでの生活の中に、その手の幸せは何処にも転がっていませんでした。







そして、認知症にならない為の7つの生活習慣が語られていました。


①散歩をする


②新聞を声に出して読む


③料理を作る


④社会と交わる


⑤電車・バスで出かける。


⑥日記をつける


⑦恋をする



日常生活の中で、簡単にできる事ばかりなので、皆さん是非実行して、認知症にならないように気をつけましょうと、締めくくられていましたが・・・・・







違う、違う、全!然!違う!!!







ヒロくんは、社交的で誰とでも仲良くなれるタイプだった。


趣味を一杯持っていたし、運動は大好きだった。


料理だって上手だった。


あちこち出かけるのが大好きだったし、毎日新聞をちゃんと読んでいた。


何より・・・・・恋をしていた。


大好きなmomoさんに33年間もずっと恋をしていた。




それでも・・・・・・




それでも・・・・・・ヒロくんは、認知症になってしまった。



この事実を、誰が、どうやって説明できますか?



たった7つの生活習慣?



いえ、100個、1000個、10000個並べても、認知症の理由を説明することなど出来ないと思います。









番組の中に15年前にご主人が若年性アルツハイマーになられたSさんご夫妻が出ておられました。


奥様は、とても穏やかな良い笑顔をされていました。



「一緒になってくれる?」


ご主人からのプロポーズの話、感動的でしたね。



若くして認知症になっても、こんなに穏やかに幸せに暮せるんだわ・・・・


そんなエピソードでした。






でも・・・・・






私はそこに到るまでの15年と言う、長い長い年月に思いを馳せました。


このご夫婦も、想像を絶するような、苦しみ、悲しみ、絶望、葛藤を乗り越えられてきたに違いない。


ヒロくんみたいに、ご主人は素っ裸になって夜中に徘徊していたかもしれない。


絶望と苦悩を最大限に表現して、背後霊となって奥様にまとわり着いていたかもしれない。


を踏みつけた足で、家中歩き回っていたかもしれない。




そんなご主人を見て、奥様は・・・・殺してあげよう・・・・



自分の手で殺してあげる事が、主人にとって一番の幸せだわって、何度も思ったかもしれない・・・私みたいに。






15年。




我が家の倍の年月・・・・・・




奥様はどんな苦悩をどうやって乗り越えられたんだろう?


そして、今もなお、画面に映っているあの穏やかな笑顔の奥に、なんらかの苦しみがあるのだろうか?


それとも、何もかももう小さな事よ、と、澄み切ったさわやかな心境でおられるのだろうか?



その果ての穏やかな笑顔なのだろうか?




どんな名監督さんと名女優さんを揃えても、決して伝える事が出来ない、ここに到るまでの心の軌跡は、画面から伝わってくる事はありませんでした。











でも、番組は有意義な情報も教えてくれました。


認知症を治す薬が動物実験を終えて、治験段階に入り、5年以内に実用化を目指す、と言う情報。







私は1月19日にになったので、未来への希望も夢も持ちません。


だから、これは単なる妄想か寝言です。



開発が間に合った新薬で、夫の脳細胞は復活した。

ある日目覚めた彼が、優しい笑みを湛えて言う。

「長い間、苦労かけて悪かったね。今日からまた、僕が守ってあげるよ。何も心配しないでついておいで。」







ohizanoue




コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


 | BLOG TOP |