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いつでも里親募集中

朝、泊まりから戻ってきたヒロくんは、私が何も言わないのに、玄関で靴を脱いで、スリッパに履き替えました。


普通の人にとっては「当たり前」のこの動作。



でも、そこに大きな大きな感謝と感激が出来る私は、何て幸せなんだろうと思います。



家に入るときには靴を脱ぐ。



この「当たり前」の事は、ヒロくんが、とっくの昔に忘れてしまっていた動作だったからです。






数日前の夜、寝ていたヒロくんは、トイレに起きました。



寝室のドアを出ると、左手にあるトイレに、迷うことなく行きました。



そして、自分で電気をつけました。



その時は、立ったままオシッコする態勢に入ったので、「座ろうか」と言うと、珍しく「いい」と言って、そのままオシッコしました。



そして、終ったあと、レバーを引いて、水を流しました。



この「当たり前」の一連の動作を、後ろからじっと見ていた私は、まるで夢を見ているような思いでした。



トイレの場所がわかる。



電気をつける。



自分の意志で立ってオシッコする。



水を流す。



これらの「当たり前」の事も、もうずっとずっと前にヒロくんは、いったん忘れ去っていた事だったからです。









一緒に洗濯物を干す、と言う作業も最近復活しました。



一緒に干す言っても、傍に居て、かごの中から干し物を取り出しては、どうしていいか分らないので私に手渡す、と言うのがヒロくんの仕事です。



ヒロくんが、自分の靴下を手に取りました。



「そこに挟んで。」私は、手が空かなかったので、ぶら下がっている物干しを指して言ってみました。



出来る分けがない事は分っていましたが。






ところが・・・・・・・





ヒロくんは、長い時間かけて、靴下を洗濯バサミに挟む、と言う作業を一人でやってのけたのです。



この「当たり前」の動作に、再び私が大感激したのは言うまでもありません。






と、言っても、ヒロくんの生活が病気以前に戻れる訳ではありません。


何もすることがない時間が長く続くと、身をどう処したら良いかが分らなくなって、ふーッとため息をついて、落ち着きなくそわそわし始めるのは、変わりません。



相変わらず、背後霊となって、メグちゃんと一緒に、私について家中を移動していることは、変わりません。



でも、表情が違います。



苦悩と絶望に閉ざされていた、あの眉間の皺を見かけることは、もうありません。









午後、近くの内科の先生が、月に一度の往診に来られました。



昨年の夏、ヒロくんを自宅で見送って上げようと決めた時から、この赤ひげ先生の往診が始まりました。



その後、ヒロくんの身体は回復したので、内科の先生の出番はないのですが、将来を考えて、近くの先生とのパイプをつないでおきたかったので、月に一度往診に来て頂いているのです。



「赤ひげ先生」と密かにつけたあだ名がぴったりの先生は、ヒロくんを見ると、いつにも増して「いいねぇ、いいねぇ。」と言われました。



曲がっていた首のことを、とても心配しておられたのですが、いつの間にか曲がりが治って、表情も穏やかになったヒロくんは、驚きに値する存在だったようです。



いや~、リハビリもしないし、(首の)薬も飲まないで、こんなに元気になった人は初めてだよ。

いいねぇ、いいねぇ。前はロボットみたいな歩き方してたのに、もう普通だよね。

いいねぇ、いいねぇ。顔が変わったね。いや~、いいねぇ、いいねぇ。デイの人たちもびっくりしてるんじゃないの?




はい、とても驚かれて、奇跡だって言われてます。会話が出来るようになったって言われましたよ。



と、私が答えると・・・・・



あたりまえじゃない



と、ヒロくんが会話に参加してきたではありませんか。



いいねぇ、いいねぇ、を繰り返しながら帰っていかれる赤ひげ先生を笑顔でお見送りするヒロくんが、駄目押しに先生に言葉を送りました。



きをつけて



あ~、この「当たり前」の会話が、なんて輝いている事!







夕方、私はカレーを作り始めました。



そう言えば、以前はたまねぎを炒めるのはヒロくんの仕事だった事を思い出して、言って見ました。



たまねぎ炒めるの手伝ってくれる?



いいよ



直ぐに嫌になるかと思っていたら、ヒロくんは、私が「代わろうか?」と言うまで、たまねぎを炒め続けてくれました。



あめ色になるまで炒めたら、美味しくなるよ。



そうだね。それはきいてる。



何気ない会話をしながら、夫と二人で台所に立っている。



こんな「当たり前」の事が、私にとっては、地獄から救い出された祝いの宴の様にさえ思えるのです。








「当たり前」の幸せを堪能した、本当に良い一日でした。





そうそう、ヒロくんが手伝ってくれたあめ色カレーが、最高に美味しかったのは言うまでもありません。




ameiro



otetsudaierai






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