終戦の日である8月15日、未明に我が家は奇襲攻撃を食らう羽目となりました。
この所、夜間の眠りが心許なくなっていました。
何回か、何回も、目を覚ます。
でも、混乱することなく直ぐにまた横になってくれるので、何とか私も
夜勤をしないで眠る事が出来ています。
私が夜勤を強いられるかどうかが、在宅介護の一つの限界点です。
だから、何とか夜だけは眠ってくれ!と願います。
8月15日4時35分。
目を覚ましたヒロくんは、急に混乱が始まりました。奇襲攻撃開始です。
寝室に居るのはイヤだったので、「もう、起きようね」と言って、リビングへ行きました。
久しぶりに、父親の明け方の騒動で眠りを妨げられた息子が二階から降りてきました。
どうして、なんで、ねえ、どうしてそんなことすんの?
おかしいじゃない、なんでよ、どうしてそんなこと、
おかしいよ、どうして、どうして、ねえいつもと同じ台詞です。
理解不能の言葉のようですが、改めてこうして書き記してみると、彼の頭の中を実に上手に表現している言葉です。
「何かがおかしい、何だか分からない、どうして?どうして?」
今の彼の心の内は、この言葉に尽きるのでしょう。
かわいそうに私は、思ったままを言いました。
そうだよ!とても強い言葉が返って来ました。
彼は、ほとんど泣きそうな表情で、「どうして、どうして」を繰り返しながら、立っていることが出来ずに、床に崩れ落ちました。
私には、何も出来ません。
ただ、そんな彼を見ていることしか出来ませんでした。
息子も、言葉はありません。
床に崩れ落ちた彼は、直ぐに立ち上がり、一人で寝室へ入って行きました。
リビングに残された私と息子は、静かに話しました。
かわいそうだね入院させた方が良いでしょうこうしていると長く感じるけど、実際はほんのちょっとの時間なんだよ。ほら、たったの10分しか経ってない時計の針は、4時45分を指していました。
去年は、これがずっとだったよねうん、12月は24時間こんなだった。あの時なら、入院させられたけど、今はほとんどの時間が良い時間だからね。良い時間って・・・・・笑う事もあるし、嬉しそうにしている時だってあるんだからそんな時があるとしても、だからと言って良いわけじゃないでしょう話の結論など出るわけはありません。
寝てるのかな?寝室に入ったっきり、大人しく、顔を見せません。
見てくる私が、そーっと覗いてみると、彼はベッドに腰掛けていましたが、ゆっくりと立ち上がった所でした。
ご機嫌直ったかしら?
5時10分。
残念ながら、期待空しく「怒り」はまだ続いていました。
ここで登場、奥の手
「チキンラーメン」です。
今までほぼ100%の確率で、彼の怒りを静めることに成功していた魔法のラーメンですが、今朝は却って火に油を注いだ感じでした。
どーして、ちゃんとやってるし、
どーして、ようするにそういうことですかそんな文句を言いながらも、彼は魔法のラーメンを食べてくれました。
胃袋が満たされたにも拘らず、ご機嫌はちっとも良くなってくれません。
7時。
どうして、怖い顔です。
7時半。
万策尽き、朝のドライブに出かけることにしました。
車の中でも、苦しみの表現が続いていましたが、1時間ほど走るうちに、漸く落ち着きを取り戻しました。
9時半。
デイに送って行く。
まだまだ怖い顔の余韻が残ったヒロくんを、笑顔の職員さんに引き渡すと、漸く長い長い朝が終わりました。
夕方、彼は怖い顔のまま戻ってきました。
お八つに、ポカリとお煎餅を食べました。
まだ、怖い顔は治りません。
眉間には、深い縦皺が寄っています。

苦しそうです。辛そうです。悲しそうです。
効果が感じられていた薬が、もう効かなくなってきたのでしょうか。
どうしようもありません。
彼の額から、縦皺が消えたのは、一時間ほど経ってからでした。
長い朝から、初めて穏やかな表情になりました。
良い顔してるねそう?こうして8月15日は、終わりを告げました。
我が家の終戦記念日は、いつになるんだろう・・・・・・
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