最近、ショッピングがお気に入りのヒロくんです。
お店の入り口が目に入ると、「ここ、ここ」と言って、行きたいと言う意思表示をします。
車から降りて店内に入った時は、本人は、好きなお店に来たと言う認識はある様です。
乗り降りに危険を感じて以来、エスカレーターを使うのは止めました。
誰も居ないエレベーターに乗るか、階段を使います。日頃、運動不足なので、出来るだけ階段を使うようにしています。
ヒロくんの目に、階段はどのように見えているのでしょうか。
足はまだまだしっかりしているのに、脳が正しい指令を出せなくなっているので、足が順調には動いてくれません。
特に、最初の一段目は、戸惑います。順調に一段目が踏み出せれば、私が着いて行くのが大変なほど、さっさと上がって行きます。
でも、途中に踊り場があると、せっかく順調に上っていた足が止まってしまいます。リズムが崩れて、エア階段に足を上げたり、一段飛ばしで上がったりします。
一度、一段飛ばしで足が動くと、上りきるまでずっとそのリズムで上がりきるのです。
脳は、やっとの思いで、「一段ずつ足を上げなさい」と指令を出したのに、途中に踊り場がある。
これが直ぐに「踊り場だ」とは判断できないので、混乱してしまうのでしょう。そして、良く分からないままに、「足を大きく上げなさい」と指令を出してしまうのでしょうか。
それとも、まだまだ元気なヒロくんの足が、脳からの正しい指令を待たずして、勝手に動いてしまうのでしょうか。
この時点で、ヒロくんの脳は、疲れきってしまっている事でしょう。
お店の中では、並んでいる色とりどりの衣類や雑貨の間を腕を組んで歩くわけなのですが、見るからに好きそうな色の場所に寄って行って、手にとって「これいいね」などと言います。
ショッピングを楽しんでいると言えば、うそではないのですが、同時に、「ここはどこだ?あそこにあるのはなんだ?あれはだれだ?」と言う、不安も全身からにじみ出ています。
だから、慣れていないお店には行かない事にしています。
店内を歩くヒロくんの目は、落ち着きなく、遠くを見ています。
私は、出来るだけ人がいない通路に導きます。
ヒロくんが、気に入った品物があると、「いいね、これ買って行こうね」と言って、一旦手にとって、また直ぐに戻します。
ヒロくんの目には、店内やそこで買い物をしている人たちは、いったいどんな風に見えているのでしょうか。
目が捉えた映像を、脳はどの様に判断するのでしょうか。
目の前にいるのに、一瞬で私を見失ってしまう時には、どこでどんな連絡ミスが生じているのでしょうか。
好きなお店に買い物に来た。気に入ったものがある。これいいな。買うって言ってくれた。良かった。
ん?ここはどこ?あっちにみえるものは何?
あれ?一人ぼっちだ。一緒に居たあの人、どこ行った?あ、いた。
これいいな。買おう。あれ?ここはどこ?何だか良く分からなくなっちゃったよ。あ~、つかれた。店内を歩いているヒロくんの顔からは、こんなメッセージが発信されている様に見えますが、あくまで私の想像なので、本当の心の内は、もう生涯分かりません。
そんな訳で、ショッピングを終えて、無事に帰りの車の助手席に座わらせた時には、本当にほっとして、同時にどっと疲れが出てきます。
でも、きっと私以上にヒロくんは疲れ切っている事でしょう。
好きなお店に来たけれど、何もかも分からない事だらけなんですから。
分からない事への不安、恐怖と言うのは如何ばかりでしょうか。
今、自分がいる場所が分からない。
今、一緒にいる人が分からない。
今、自分が何をしようとしていたのか分からない。
今、目の前で起こっている現象が何だか分からない。
分からない、分からない、分からない。
疲れた~。休みたい・・・・・こんなヒロくんの脳の呟きが聞こえてきます。
かわいそうに・・・・・・・




かわいそうに・・・メグちゃん。
一生懸命、「花火の音だから、怖くないよ」って、言ってあげても、分からないんだから、怖いよね。
花火の音でブルブル震えて、落ち着きなく家中をそわそわと小走りに動き回るメグちゃんの姿が、夫に重なってしまう昨今です。
メグちゃんは、小さいから腕の中に包んでギュッと抱っこしてあげられるけど、
夫は、大きすぎて・・・・・
抱っこ出来ないんです。
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