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いつでも里親募集中

私が受けたショックの連鎖など何処吹く風、と言う感じで嬉々としてNホームさんに通うヒロくんの姿は、ある意味救いとなります。 オムツを着けて帰ってきた翌日は、家で過ごす日でした。

以前ケアマネさんが「言葉は悪いですが、ホームではだましだまし過ごしています。」と言われた通り、私も今日一日どうやってヒロくんをだまそうかと思案していると、

「ちょっといこう。」とヒロくんの頭の中には何かが浮かんでいるらしく、お出かけのお誘いです。

ここで、その「何か」を引っ張り出すのが至難の業なのですが、これは比較的私の得意分野です。何故なら、遥か昔の話ですが、おしゃべりが遅かった息子が発する唯一の言葉「あーあー」だけで、その頭の中の言いたい事を文章に変換していた実績ありです。

前日の連絡ノートに「○○町のコスモスを見に行きました。」と書いてあったので、

「コスモス見に行くの?」

「そう。」

やっぱり!推理成功です。

ですが、ここからが難題で今の時期コスモスが咲いている場所はあちこちにあるけれど、Nホームさんで連れて行って下さったコスモスが何処にあるのかは、流石の私にも推理困難です。

ヒロくんは、ただコスモスを見に行きたいのではなく、昨日皆で行った綺麗なコスモスを私にも見せたい、と言う優しい思いを秘めているのです。

「場所、分かる?」

「わかるよ。」

「じゃあ、案内してね。」

「いいよ、かんたんだよ。」・・・・・言うは易し行うは難しですぞ。

Nホームさんに聞いてみるのも手ですが、まあ行き着けなかったら適当にお買い物でもして帰ろうと、気楽に構え、とりあえずノートに書いてあった○○町目指して出発です。


秋です。空は高く、まだまだ夏の名残で照りつけている太陽の光にも優しさが加わっています。
快適なドライブです。



振り返れば、ドライブ好きなアウトドア一家でした。

ハンドルを握っているのはあたり前の様に一家の大黒柱のヒロくん。ワゴン車にテントや食料を一杯積み込んで、時にはおじいちゃんおばあちゃんも誘って、本当に色々な所へ遊びに連れて行ってくれました。

振り返ると、とろけそうな楽しい記憶が山のように蘇って来ます。私の頭の中には、それらの夢のような記憶がぎっしりと詰まっていて、何かの拍子にそれは飛び出し、追憶に耽る事が出来ます。

同じ体験をしてきたヒロくんの頭の中にだって、当然同じ記憶が詰まっているはずです。

どんなに脳が萎縮しても、あの楽しかった記憶が消えてなくなる筈はありません。きっと、縮み行く脳の壁に押されて、記憶の部屋から出てくる事が出来ないだけなのです。

そうです。あの、楽しかった記憶は、ぎゅっとぎゅっと凝縮されて、ヒロくんの脳の何処かに、今もそしてこれからもずっとずっと大切に保管され続けるのです。

ええ、そうですとも。あの楽しかった記憶が消えてなくなるなんて事があるものですか。




「こっちだよ。」と言うヒロくんの声で、私はいつの間にか○○町まで来ている事に気が付きました。

「このまままっすぐ。」

「もっとまっすぐ。」

「ここまがって。」

半信半疑ながらナビに従って、信号を曲がると・・・・・目の前に見事なコスモス畑が広がっているではありませんか!

「わあ~、綺麗ね。」と感嘆の声を上げた私に、「そう、みんなでここきたよ。」と得意げなヒロくんです。

爽やかな秋の一日、美しいコスモス畑。でも、私が感激した本当に理由は、ヒロくんが無事にコスモス畑まで案内が出来た事でした。

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