知り合いの団塊世代の男性のお話、三つです。
Aさんは、先日、40年近く勤めた職場を退職し、第二の人生を歩き始めました。
激務だった現役時代を支えたのは、奥様です。
九州男児で、亭主関白を絵に描いたようなご主人に、それはそれは良く仕えた奥様も九州の出身でした。
春に退職したAさんは、2ヶ月もかけて、二人の故郷へゆっくりと里帰りを果たしたそうです。
そして、現役時代は一度も旅行など連れて行ってあげたことのない奥様と二人で、念願の北海道への旅行もされたとか。
奥様任せだった家の事にも手が回るようになり、趣味の庭いじりなどに興じつつ、10月から新しい会社に就職し、第二の人生を歩き始めたとの事。
そんな近況を知らせる葉書が舞い込んで来ました。
私は、ここに至るまでのAさんご夫妻の長い人生に思いを馳せました。
おそらくは、仕事中心で、ほとんど家庭を顧みる時間が取れなかったであろうAさんと、夫不在の家庭をしっかりと守って、子供たちをりっぱに育て上げた奥様。
子供たちも独立し、漸くここから、お二人のゆっくりとした生活が始まることでしょう。
二人で行きたい所に旅行も出来る。たまには、海外にも行ってみる。
休日は、ご主人が、お庭で植木の剪定などしている。
「あなた、お茶が入りましたよ」
「お、そうか」
縁側の陽だまりに二人で腰掛けて、膨らみ始めた椿のつぼみを眺めながら、一緒にお茶を飲む。
話題は、先日生まれたばかりの初孫の話など。
なんて素敵な、人生の「秋」でしょか。
もう一人の団塊世代の男性Bさんの人生は、全く違います。
Bさんとは、つい最近知り合ったので、若い頃の事は分かりません。
現在は、アメリカ在住で、会社の経営者であると言うことです。
61歳のBさんは、今まで一度も結婚されたことがありません。
そんな彼が、40歳の女性に恋をしました。一目ぼれとはこのことです。
21歳の年の差を乗り越えて、先日二人は結婚しました。
花嫁は、ヒロくんの姪です。
式には参列できなかったのですが、後日写真が送られてきました。
笑顔の花嫁、本当に幸せそうです。
美しい花嫁と腕を組んで、隣に写っている花婿さんは61歳。
負けず劣らず、幸せいっぱいの笑顔です。
ここから始まる二人の人生。
これから二人で築き上げてゆく新しい人生。
希望に満ち溢れた人生の「春」ですね。
そして、もう一人の団塊の世代の男性は、いつも私の傍にいる人。
病に冒されて、長年連れ添った奥さんの事も、可愛がっていた子供たちの事も忘れてしまった人です。
共に築き上げてきた人生のほとんど全てを過去に置いて来た人です。
これから先の、残された人生を、共に考え、共に築いてゆくことも出来なくなってしまった人です。
そんな彼と共に生きる人生には、「春」も「秋」もありません。
せめても、ぎらぎら光る「夏」でも、凍てつく「冬」でもあれば良いのに、と思います。
彼との人生にあるのは、ただ、今、ここに、生きている、と言う事だけ。
今日一日を無事に終えよう、と言うほんの短い目標だけです。
三人の団塊世代の男性の人生。
本当に、人生いろいろです。
どの夫婦が一番幸せかは、誰にも決められません。
幸せは、彼と彼の奥さんが、二人で感じ取ることだからです。
人生を終えるとき、
さだまさしじゃないけれど、
「お前のおかげで良い人生だった」って、言える様な道を歩いて行きたいものです。



しかし、ある日夫の様子がおかしい事に気が付きました。そして・・・あまり人の経験する事の出来ない道へ来てしまいました。(経験したくない道)
夫は昭和22年生まれ、団塊の世代のど真ん中です。
夫はヒロさんより少しだけ後ろを歩いています。
いつもmomoさんのブログをうなずきながら読ませて頂いています。
正直しんどいです。でも行くしかないんですよね。