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奇跡の夜

奇跡は、突然に起こります。



幻の入院騒ぎから5日後の話です。




我が家では、夫の笑顔は、過去のものとなっていました。


今年になって、笑顔が出たのは、ほんの2回か3回。


それも、ちょっと顔の筋肉が緩んだ、と言う程度です。


それ程、笑わなくなった夫。


きっと、笑いを司る脳の部分が萎縮してしまい、笑いの指令が出せなくなってしまったのでしょう。


笑顔のない相手と、笑顔で接するのは、大変な労力を伴います。


疲れます。


もう、報いなど求めることはありませんが、それでも、報われません。


でも、病気だから仕方がない。


自分がこの病気だったら、笑っている事などできそうにないので、夫に笑顔がない事を責めるわけにも行きません。


ちょっとは笑ってくれたら、お互い楽に生きられるのに、と思いつつも、日々笑顔のない相手と、作った笑顔で暮らさなくてはなりません。







ところが・・・・・






奇跡は突然やって来ました。






その日は、連絡帳に「被害妄想的発言があった」「疲れた、帰りたい、と言われていた」などと書かれ、身体の傾きがかなり酷い状態で戻って来た夫です。



が、家に入ると直ぐに落ち着きを取り戻したように見えました。



私は、少し前にYさんから、「毎日デイに来るのは、本人にとって負担になっている」と言われた事が、心に引っかかっています。



仕事の忙しさと、私の精神的安定を口実に、12月以来、夫はひたすらデイに通い続けているのですが、そろそろ考えなくてはならないかもしれません。



可愛そうな事をしているかなぁ・・・と言う、後ろめたさと、落ち着きを取り戻した夫の姿から元気をもらって、夕食は夫が大好きな天ざるを作りました。



久しぶりです。



夫は、「これいいねぇ」と言いながら、美味しそうに山盛りの天ぷらを食べました。



今宵の奇跡は、この辺りから始まっていたのかもしれません。



夕食後、いつも通りTVを見ることにしました。



新聞に、夫の好きなお笑い番組がある事が載っていたので、「今日は、お父さんの好きなのがあるよ。」と言ったものの、もう、TVを見て笑う、と言う事を期待する私ではありません。



報われない努力がある事に漸く気が付きました。



努力すればするほど、頑張れば頑張るほど、空回りしてきた様な気がします。






そんな時、奇跡は突然やって来たのです。




TVに向かっていた夫が、はは・・・・と笑いました。



えっ?



私は、びっくりして夫の顔を見ました。



笑ってる。



それも、ちゃんと、TVを「見ながら」笑っているのです。



ははははは・・・・・・・



ははははははは・・・・・・・・・・





笑いのつぼも間違っていません。





ははははっははっは・・・・・・・・・・・・・








ははははははっははは・・・・・・・・・・・





久しぶりの奇跡の降臨に、私はあわててカメラを取り出して、夫の笑顔を撮りました。



何回も、何回も、何回も、シャッターを押し続けました。


笑う1 笑う2 笑う3 笑う4笑う5 笑う6






これが最後になるかもしれない・・・・





こんなに嬉しそうな、楽しそうな笑顔は、もう、生涯見られないかもしれない・・・・・






はははははははははは・・・・・・・・





夫は、笑い続け、笑いすぎて、涙を流しました。



私が見たかった、あの笑顔が、今、目の前にあります。



奇跡です。



私は、思いの丈を語りました。




「お父さんが笑ってくれたから、嬉しい。今、本当に幸せだよ。お父さんと結婚して、本当に良かった。

今日は何て良い日なんだろう。もう、嬉しくて嬉しくて、このまま死んでしまいたい位幸せだわ。」




感動的なドラマのクライマックスで、女優さんに語らせたいほどの、くさい台詞を、その時の私はくそまじめに夫に語りかけていました。




対する男優は、




「そうか・・そうか・・」



と言いながら、それに答えてくれました。







奇跡の余韻は、その後も続き、夫は穏やかな顔と心のままベッドに横になってくれました。





夫のとびきりの笑顔を、メグちゃんの笑顔と入れ替えて壁紙に据えた後、安らかな寝顔を見ながら、私は願いました。





神様、どうぞ今宵このまま夫をお連れ下さい。

この安らぎのまま夫を眠らせてあげてください。

明日になって、再び苦しみの淵に落ちることがあるのなら、今宵この幸せに満ちた夫のままでお連れ下さい。















でも・・・・・



神様は、私の願いをかなえてくださることはありませんでした。







だから・・・・・



今日もまた、夫は眉間に皺を寄せて私の隣にいるのです。











神様・・・・・







ありがとう。







壁紙






コメント

涙が溢れました。
普通の人には当たり前のことを奇跡と感じる。
幸せです!!

苦しいですよね…。

大切な人だから。今がどうであれ、これまで一緒に過ごしてきた日々があるから。

読んでいて、同じく苦しくなり、生きていてくれるということへの感謝を、改めて想いました。

それでも、治ってほしい…。

ゆうゆさん、つきさん、

こんにちは。コメントありがとうございます。

笑ってくれた事、生きていてくれる事、

そんな何でもない事に感謝できる人生は、幸せなのかもしれませんね。

でも・・・・

つきさんの最後の言葉が全てです。無理だと分かっているけれど・・・・

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