月の内、三分の二もデイに行ってくれていると、居る日は出来るだけヒロくん中心に一日を過ごそう、と言う精神的ゆとりが出てきます。 ヒロくん自身も、「きょうはあそこいこう。」などと、自分で行き先を決めている時があります。
お気に入りは、ユニクロさんに衣類を買いに行く事と、お蕎麦を食べに行く事。
衣類は、そんなにしょっちゅう買える訳も無いので、今日は靴下だけね、今日はパンツだけね、
と言う風に。
で、昨日はお蕎麦の日でした。
家から車で20分ほど走ると、大きなダムがあります。観光地としても有名なそのダムは、今の時期は平日でも移り行く山の紅葉を愛でに、中高年のご夫婦を中心ににぎわっていました。
湖畔には沢山のお土産屋さんと、岩魚の塩焼きとかいのしし鍋、とかこの土地ならではのメニューを掲げたお店がずらりと並んでいます。
でも、ヒロくんが入りたいお店はいつも同じところ。注文するメニューはいつも「天ざる」と決まっています。
お店に入ると、空いていた席は、座敷の一席だけでした。小さなお店なので、テーブルの間を遠慮しながら通って、座敷の方へ行き、まず私が靴を脱いで上がりました。
次にヒロくんが着いて来ると思いきや、上がりかまちに腰をかけてじっと座ったままです。
「靴、脱いで。」と促しても言われている意味が理解できないようです。
「これ(靴を指差して)脱いで、ここに上がって。」と言うと、漸く靴を脱いで上がってきました。
次は、どこに座っていいのか分からなくて、じっと立っているので、「ここに座って」と、その場所を教えてやっと座ってもらいました。
あ~、疲れる。普段の平日は空いているので、一番座りやすい位置に座る事が出来ていたのですが、混んでいて、そこしか座る場所が無い場合は、ちょっと苦労します。
「同じで良いの?」
「そうだよ。」
いつもの様に、天ざるとちょっと寒かったので私は暖かいお蕎麦を注文しました。
待っている間周りをさり気無く見回すと、定年後のご夫婦がのんびりと紅葉狩りに来たと言う感じのお客さんが大多数です。私達もそう見えるのだろうな。
いつもと同じ天ざるが運ばれてきましたが、ここからもちょっと手がかかります。
おつゆの中にねぎとわさびを少々入れる、と言う手順をヒロくんは忘れています。だから、私が入れてあげます。昔は好きだったけど、最近はあまり刺激物は良くないかと思って、わさびはほんの少しだけにして、残ったわさびが入っている小皿は、私の方に寄せておきます。
そのままヒロくんの近くにおいて置くと、あ、と思った瞬間にわさびをつまんで口の中に入れてしまったことがあるからです。
その時は、ヒエー!と吐き出すかと思ったら、何食わぬ顔で普通に食べてしまいました。
そこまで準備が整うと、自分で割り箸を割って、蕎麦と天ぷらを天つゆにつけて食べる事ができます。
でも、器の周りにそばがどっとはみ出したり、まだそばが入っているのに、次のそばを入れて大洪水になったりするので、目の前で見ている私は気が気ではありません。
特に、串に刺さったぎんなんの天ぷらを食べる時は気をつけないと、串が食べられない事をヒロくんが気が付くのは、口の中に入って噛み砕いてからなのです。
一緒に食べながら、私はいつも周りが気になります。一見、健康そうな普通の人に見えるヒロくんが、随分変わった食べ方をしているのに気が付く人が居たら、変に思われるだろうな。小市民です。
色んな思いが浮かびつ消えつ・・・・でもヒロくんがご機嫌ならそれで全て良しです。
帰り道、対向車がネズミ捕りサインを出してくれたので、
もっと私は30数年無事故無違反のゴールド免許の優良運転手なので、スピード違反などしたことはありませんが、それでもメーターを見ながら40キロを維持して、お巡りさんの脇を通り過ぎようとしたら・・・・
赤い「止まれ」の旗を振っているではありませんか。
え?何で?
キツネにつままれた思いで停止すると、
「助手席のベルトしていませんね。1点です。」
あ~あ、初めて捕まった。・・・・・・・・・・ショック!
せっかく美味しいおそばを食べて、楽しい一日で終わるはずだったのに・・・・・
家に帰りつくと、ヒロくんが一言。「ごめいわくをおかけしました。」
満点大笑いです。
満点大笑い..素敵です。
うちも ふとした事で親子三人笑顔の瞬間に
あ~しあわせだな~って よく思います。
主人が、この病気になっていなかったら こんな些細な事で しあわせだと感じられる自分だったかなと思ったりしています。
今年の夏 家でそうめんを食べる主人が、めんつゆにめんをつけず そうめんの入った器から 直接めんを
ずず~と、いったときには あちゃ~と思いました。
おいおい..みずくさくないのかいって!!
色んな思いが浮かびつつ消えつつ....
ほんとにそうですね。主人の笑顔が見られたら それだけで 感謝ですね。
それでも 時には、疲れ果て主人のちんぷんかんぷんの行動につい いらっとしてしまい ひどい言葉を投げかけてしまう自分もいて 落ち込むこともあります。 そんな後も、何ごとも無かったかのように 優しく接してくれる主人にも感謝しています。
では、またおじゃましますね~