明日、病院へ行きます。
この一週間、いすがひっくり返らなかった日はほんの一日だけで、流石の私も、もう覚悟を決めました。
荒れ狂う夫の姿を見る事にも、空を切り裂くような男の悲鳴を聞く事にも、もう耐えられる神経がありません。
何より、本人が一番かわいそう。さぞ、苦しかろう、辛かろう。
家に居ること、私と過ごすことが、安らぎに繋がらないなら、別の道を探してあげるのが良いでしょう。
そして、父親に一番優しかった次男が、「お母さんは良くても、僕はもうむりだからね。」と宣言して、明日一緒に病院へ行くと言います。
付き添いなど一度もしてくれた事がないのに、一緒に行く理由はただ一つ。
また、母が気が変わると行けないから、自分が行って入院を頼んでくる、ただそれだけ。
夕方、泊まりから戻ってきた夫は、相変わらず家に入るのを拒否しました。
私は、顔を見せることをしないで、家の中からそっと様子を伺いました。
送って来てくれたおじさんに、何か言いながら、夫は家の中に入ろうとしません。
このままではおじさんが帰れないので、「大丈夫ですから、行ってください。」と言うと、おじさんは心配そうに帰って行きました。
その後、夫は一時間くらいデッキをうろうろうろうろ歩き回りました。
激しく荒れることはないけれど、険しい表情です。
連絡帳にも、2日間とも非常に激しく荒れた様子が書かれていました。
良かった。これで、迷いはない。もう決めよう。
ケアマネYさんとも話して、あまり先まで考えないで、とにかく今のこの状態だと入院して距離を置くのが良いでしょう、と言う事になり、私もそれしかないと心に決めました。
夫は、一時間ほどうろうろした後、靴のまま家に入って来ました。
私は、話しかけたりしない様にして、普通に家事をしていました。
いつの間にか、夫は自分の席に座りました。
今日の夕食は、さっき裏山で掘って来たばかりのタケノコです。
煮物、天ぷら、お吸い物、それに夫が大好きな春巻きもあります。
父との決別を決めた息子が戻ってきたので、一緒に食べ始めました。
「裏山で取ったタケノコ食べる?」
私は、初めて夫に話しかけました。
「はい」
彼はとても素直に返事してくれました。
そして、タケノコと春巻きを沢山、沢山、美味しそうに食べてくれました。
何だか、調子が良いぞ。
夕食後、CDに合わせて、手をたたき、一緒に歌うマネをしてふざけました。
私は笑いました。
笑っている私を見て、夫の顔が緩んで来ました。
ははは・・・・
ははははは・・・・・・
私たちは、顔を見合わせて笑いました。
笑ったのはいつ以来だったか、思い出せないほどです。
息子が二階から降りて来ました。
「今日は、いいの?」
明日、父親を入院させようとしている彼が聞きました。
「うん、笑ってたの。」
私は、どうだ、とばかりに答えました。
息子は何も言わずに外出しました。
そして、寝る前のオシッコも歯磨きも、とても素直に従ってくれて、つい先ほど、夫は大人しくベッドに横になりました。
さて、明日。
どうする?
コメント
コメントの投稿