夫を病院に置いてきて2日が経った。
まだ、面会に行っていない。
今日は行こうかと思ったけど、息子が言う。
「そんなに直ぐに行ったら、却って混乱するから、しばらくは行かない方がいいよ。今週は、水曜日に一度行くだけにしておいたら。」
入院の決断以来、すっかり、「老いては子に従え」になってしまったので、彼がそう言うなら、そうした方が良いと思えてくる。
それに、昨日と今日は、事務員のOさんがお休みだったので、夕方5時まで私は仕事をしなくてはならない状況だった。
病院まで、片道30分かかる。
片づけをして、早くて5時半に家を出たとして、到着が6時。
そこから一時間ほど、居る事になるのだろうか?
面会、と言うものをした事がないので分からない。
家に帰って8時近くなると、流石に疲れそうだ。
暗くなってからメグちゃんをお留守番させるのも可哀想。
そんな事を考えている内に、2日間が過ぎた。
そして、今、感じている。
私って、意外と、立ち直り、早いかも。
夫を病院へ置いてきた日は、先生からの拘束の知らせに、心がかき乱され、夫への申し訳なさで一杯だった。
こんな事なら、絶対に拘束しない事を謳っているK病院へ入院させれば良かったかも。
どうせ入院するなら、もっと早くした方が良かったのかも。
私が決断出来なかった為に、夫は余分に一年間苦しんだのかも。
そんな中でも、まだもう少し家で見てあげれば良かった、と言う後悔の念は、湧いて来なかった。
やはり、今が限界だった。
入院させて病院から帰ってきた夕方、もしかしたら、倒れるんじゃないかと思うほどの疲労感の元、夫に関する話は誰ともしたくなかった。
そんな話をすると、心が崩れてしまうだろうと思ったから。
でも、ケアマネYさんにだけは、報告しないといけないので、電話した。
淡々と事実を話すことだけを心がけたけど、拘束の話をした時に、崩れた。
Yさんは、「散々考えて出した結論なんだから、それで良いのですよ。」と言うような慰めを言われた様な気がするが、あまり覚えていない。
夕方になって、仕事場へ行った。
朝から、Oさん一人にずっと任せていたから、行かなければ悪い、と言う思い以上に、一人で居たくなかったからだ。
お客さんも疎らのこの時期、Oさんは店番の傍ら、庭の草取りをしていた。
遅くなりました。普通の声で言えた。
あ、そうそう、奥さんが来られたら聞こうと思ってたんですけど・・・・・Oさんも、いつもと同じ様に、仕事の話から入った。
私たちは、砂利の間から伸びている小さな雑草を取りながら、話した。
仕事の話が殆ど。
入院の話は、どちらからも話さない。
Oさん、絶対に気になっているに決まっているのに、自分から聞いてこないところが、にくい。
大分経ってから、
そう言えば、今朝、Tさん(息子)がモップを持って歩いてたから、どうしたの?って聞いたら、掃除する、って言われたんですよ。どこを?って聞いたら、家、って言われて、朝からモップ持って家の掃除って、何だろうと思ったんですよ。さりげなく話を振ってくる。
それに釣られて、今日は絶対に夫の話はしないと思っていたのに、
それがね、朝、大変だったの。私は、普通に話をし始めていた。
朝の、夫からのプレゼントの話に始まり、入院させるまでのこと細かい話をしていた。
普通の話をするのと同じ様な感じで話せた。
拘束の話も。
そして、心にあった後悔も話した。
もっと早く入院させたほうが良かったのかもしれないとも思うのよ。
私の決断が遅過ぎた事が、主人の苦しみを長引いかせたのかもしれないし。Oさんは、直ぐにはっきりと言った。
それは絶対に違います。一年前だったら、奥さんの心が着いて行かなかったですよ。何時も一番近いところで、私を見ていてくれたOさんは、一年前の私を良く知っている。
ご主人が車椅子で、散々苦労を重ねてきたOさんは、まるで私専属の臨床心理士の様だ。
確かに、Oさんの言う通りだと思う。
もし、一年前に「老いては子に従え」を無理やり受け入れていたら、私の後悔は、今の何百倍何千倍もあったと思う。
もっともっと自分で看てあげたかった、と言う思いに潰れていたかもしれない。
本当に、今が潮時だった。
この二日、夫の事は、いつも頭にある。
どうしているかな?と思う。
でも、その反面、随分、解放されたすがすがしさも感じている。
仕事をしていても、帰る時間を気にしなくても良い。
皆と一緒にお茶を飲んでいても、今までは、「私は、違うんだ」と言う思いがあった。
目の前に居なくても、絶えず、夫に縛られていた。
今は、自分のペースで動ける。
こうしてPCに向かっていても、何者にも縛られていない自由を感じる。
今までも、大人しく眠ってくれていた事が多かったので、別に私の邪魔をする訳ではなかった。
でも、夫がそこに居ると、思うと、いつもいつも、心が縛られていた。
決して、夫が疎ましかった訳ではない。
でも、いつもいつも縛られていた。
それが普通だったので、その時はあまり感じなかったが、今、こうして一人になってみると、その解放感に酔いしれてしまう。
わずか、三日目にこんな気持ちになる私は、どうなっているんだろう?
悪女だろうか?いや、悪女だ。
一ヶ月位は、落ち込んでいたほうが、良い妻に見えるだろうか?
それとも、この急激な立ち直りらしきものが異常だろうか?
また、反動で激しく落ち込んだりするのだろうか?
明日は、初めての面会に行こうかと思っている。
病院での夫の姿を見たら、その次の私は、何を感じて、どんな気持ちでいるか・・・・
分からない。

自家中毒かも?
子供が小さい時に吐き気があって病院に行った時先生に船酔いみたいな症状だから、とても辛いって・・・
子供の病気だった気がしたから調べたら、大人でもなるみたい!
やっぱりもう身体は悲鳴をあげていたんだと思います。
今の状況は間違っていないし、momoさんは悪女じゃなく、そんな素振りをしないと壊れてしまうからだと思います!!
しばらくは目の前のお仕事にのみ集中してください