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いつでも里親募集中

病院に着いたのは、6時15分頃だった。


しばらく面会に行っていなかった次男が、一緒に行くと言うので、いつもの日中の時間ではなく、仕事が終わってから一緒に出かけることにした。


「連れが居る」と言うのは、心強い。


おしゃべりしていれば、余計な考え事をしなくても済む。


病棟に入ったのは、ちょうど夕食が終わりかけの頃だった。


何処にいるだろう?


息子が、「あ、あそこに居るよ。」と笑いながら言う。


その言い方が、幼稚園の参観日に、我が子を見つけた父親みたいで、可笑しかった。


私が見かける夫は、いつもいつも歩いているが、今日はナースステーションの前のソファに座って、リンゴジュースを飲んでいた。


エプロンを首に巻いて、ストローをくわえている夫は、何だか可愛かった。


看護師さんが立ち上がらせてくれて、いつもの面会スペースに移動することにした。


途中、ちょっと抵抗した様な気もしたが、今日は優等生で椅子に座ってくれた。


お腹が一杯になっているので、落ち着いているのかもしれない、などと思う。


表情もとても穏やかだ。


息子が、「ケーキ持ってきたよ。食べる?」と聞くと、「うん」と頷く。


甘いケーキを手に持って美味しそうに食べる。


二口ほど食べると、「いいよ」と言って、そのかじりかけのケーキを息子に渡した。


息子は、「もういいの?」と聞いている。


私は、解説してあげた。


「違うよ。美味しいからTにも食べていいよ、って言ってるのよ。」


久しぶりに、夫らしいやさしい行動を静かに見せてくれたので、私は内心小躍りするくらい嬉しかった。


息子は、「お父さんが全部食べていいよ。ポカリもあるよ。」などと、それなりに甲斐甲斐しく面倒を見ている。


食べ終わった夫に、私は少しだけ話しかけた。


「今日は、Tと一緒に来たんだよ。仕事が終わってから来たから遅くなったの。メグちゃんはお留守番してるの。」



夫は、もちろん内容は理解できない。


だから、言葉は何も出てこない。


でも、とても穏やかな顔で、耳を傾けてくれた。


しばらくすると、じっと目を閉じた。


「帰ろうか?」「帰ろう。」


私と息子は、音を立てないようにそっと席を立った。


「お父さん、バイバーイ。」と小さな声で言って、目を閉じたままの夫に、手を振って、病棟を後にした。


短い面会時間だったけど、今日は何だか幸せだったな。







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