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いつでも里親募集中

面会に行く車中は、とても気が重かった。


無理やりのオムツデビューの為に、青いつなぎを着ているに違いない夫に会うのが辛かった。


オシッコしたくても自分では出来ない仕組みになっている青いつなぎ。


一生懸命ズボンを下ろそうと思っても、決して出来ない青いつなぎ。


僅かに残されている「意思」を拒否する青いつなぎ。




「もう、一ヶ月くらい面会に行くの止めようかな。」


そう言って見た私に対して、息子は、「うん、そうすればいいよ。」と言う。


どうせ嘘に決まっているのを見抜いている。


こうなれば、残った方法は一つだけだ。


青いつなぎを着た夫の姿に慣れる事。


それしかない。


今までも、どんどん変化してゆく夫の姿に、「慣れる」と言う唯一の方法で生き延びてきた。


慣れる為には、足しげく通って、青いつなぎ姿の夫に会うこと以外にない。





そんな訳で、とても気分が重かったけれど面会に行ってきた。




夫はいつもの様に廊下の奥を歩いている様だ。


看護師さんが呼びに行ってくれたので、私も着いて行った。


覚悟を決めて、廊下が見渡せる角を曲がった。


青いつなぎ姿の夫がいるはずだ。


看護師さんに連れられ夫がこちらに向かって歩いて来た。


背後からの明るい光で良く見えないが、確かに夫だ。


でも、思っていた姿とちょっと違う。


夫は、私を認めて、両手を広げて近づいて来た。


笑顔は無いが、とりあえずは分かってくれたかなと思える瞬間だ。





せっかく覚悟を決めていたのに、夫は、青いつなぎを着ていなかった。


彼が着ていたのは、「緑色のつなぎ」だった。


頭の中で、「青いつなぎ」の恐怖が広がっていた私の目は、「緑色のつなぎ」を見て、何故かほっとしていた。


バカみたいな話だ。


青でも緑でも、「つなぎ」に変わりは無いのに。






今日の夫は、とても素直だった。


大人しく面会スペースの椅子に座ることが出来た。


持って行ったコンビニの「極上ロール」とカフェオレを気に入ってくれた様だった。


落ち着いた良い顔をしていた。


時々、遠くを指差す仕草をする。


何が言いたいのだろう?


何を思っているのだろう?


全ての言葉を失くしてしまった彼の心の内は、私が想像するしかない。


ただ、


いくら想像しても、


本当のことは、


何も、



分からない。






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