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いつでも里親募集中

一日24時間の内で、私が夫と会っているのは、ほんの30分から1時間だけである。


そんな短い時間の中での夫のご機嫌が、私の気持ちを天国へも誘い、地獄へも落とす。


もしかしたら、私が病院に居たその短い時間はご機嫌が悪かったかもしれないが、残りの23時間はそんなに悪くなく過しているかもしれない。


また、その逆もあるかもしれない。





昨日の夫は、私を地獄へ突き落とした。



昨日、面会に行った時、夫は珍しくベッドで眠っていた。


看護師さんが、声をかけて起こそうとしてくれたけど、目を開ける気配も無かったので、そのまま寝かせておいてもらうことにした。


余程疲れているのか。


せっかく寝ているのに、起こすのはもったいない。


暫くの間、ベッドの脇に座って、眠っている夫の顔を眺めていた。


眉間に皺が寄っている。


苦しそうな表情だ。


何がそんなに苦しいんだろう。


せめて眠っている間位は、苦しみから解放されていると思いたいのに、彼の表情はそうではなかった。


隣のベッドのおじいさんは、天井を見つめてじっとしている。


その隣のおばあさんは、時々何か声を上げながら、両足を動かしている。


そんな光景を見ることには、随分慣れて来たけれど、今日はこの部屋の空気が重い。


きっと、話しかける相手が眠っているので、手持ち無沙汰な私は、空気の重さを感じるセンサーがいつもより研ぎ澄まされていたのだろう。


それに、病室に入った時に直ぐに気がついたのだが、明らかに誰かのオムツの中の物の臭いが漂っている。


息苦しいので帰ろうかと思った頃、夫が目を開けた。


「美味しいもの持ってきたから、あっちへ行こうか。」と言うと、「うん」と頷いたので、看護師さんを呼んで、車椅子に座らせてもらおうと思った。


でも、夫はベッドから足を下ろすことを嫌がった。


出来るだけ早く離床出来るように訓練しているそうだが、本人のやる気がないらしい。


仕方がないので、そのまま背もたれを起こしてもらって、ベッドでテーィタイムをする事にした。


食欲は相変わらず旺盛だ。


今は、それだけが救いだ。


でも、せっかく肺炎が治ったのに、本人に起きる気力が戻らなければ、このまま寝たきりになってしまうのではないか。




帰り道、何時ものトンネルを殊更ゆっくりと走りながら思った。


家で過していた時は、本当に苦しかった。


それならばと、入院してみたけれど、そこにも夫の安らぎはない。


せめて眠っているときだけは、と願っても、どうやらそれも違うようだ。


この世では、夫が心救われる事は、もうないのだろうか。


生きている間、安らかな穏やかな時間を過ごす事は、もう出来ないのだろうか。


それなら、早く、救いがあるかもしれない世界に行ったほうが幸せではないだろうか。


こんな思いに取り付かれている時は、誰とも夫の話をしたくない。


一旦、話してしまうと、落ちるところまで落ちてしまいそうな気がするのだ。





そんな思いで居た夜、久しぶりに帰って来た長男が聞いた。


「おとうさんはどう?」


一番聞かれたくない質問だった。


でも、聞かれてしまったので、バカ正直に思っていることを伝えた。


長男は、何も答えなかった。


ほら、バカな質問するから、空気が重いじゃないか。


お風呂に入る元気も、寝に行く元気も無かったが、たどり着いたベッドにメグちゃんが居てくれたので、救われた。


そして思った。


私には、救いがある。


夫の救いは、何処にあるのだろう?


いや、何処かにあるのだろうか?






一夜明けて今日。


本当は行きたくなかった。


どうせ、ベッドで苦しそうな顔をしているに違いない。


もう、良いことなんかある訳がないと思う。


行かなければそれで済むのに、やっぱり・・・・行った。


在宅の時は、夫と苦しみを共有していた。


でも、今は、病院で苦しんでいる夫とは、距離を置いたところで、私は暮らしている。


私には、遣り甲斐のある仕事も、楽しく会話をする相手もいる。


そして、そんな自分を、認められない自分がいる。


せめて、苦しんでいる夫のところへ行こう。


ほんの30分でも、傍に居よう。


だからと言って、夫が楽になるとは思わない。


なんだろう?


自分への言い訳か。





面会票を書きながら、気が重かった。


良いことなんかある訳ないよ、と一生懸命自分に言い聞かせながら、階段を上った。


鍵を開けてくれた看護師さんが、こう言った。


「今日は、歩いてますよ。」


びっくりした。


直ぐに、夫の姿が目に入った。


綺麗なブルーのTシャツを着せてもらった夫が、支えも無く一人で歩いていた。


私を見ると、両手を広げて近づいて来た。


とても良い顔をしていた。


笑顔こそ見られなかったが、夫らしい落ち着いた顔に終始した。


この24時間ほど抱えていた絶望的な気持ちは、あっと言う間に回復した。



何なんだ?昨日と今日の、この違いは。



たった30分から1時間ほどの短い面会時間。


その時の夫のご機嫌の在り処によって、私の気持ちは天国へものぼり、また地獄へも落ちる。


そんな短絡的な思いは良くない。


もう少し、長い目で全体を見る必要があるだろう。


でも・・・・


それが出来ないのが、夫婦と言うものなのかもしれない。


さて、明日は、どっちだ?












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