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いつでも里親募集中

追憶 

いつもの愛車のドアを開けると、タバコの匂いがした。



そう言えば、前夜、息子に車を貸したので、中でタバコを吸ったのだろう。


灰皿に吸殻はなく、証拠隠滅したつもりかもしれないが、匂いだけは誤魔化せない。


あまり好きにはなれないその香りは、私に遠い記憶を蘇らせた。





夫は、タバコが好きだった。


子供たちがまだ小さい頃に、狭い車中で吸われるのには閉口した。


文句を言う私に向かって、夫はいつも、運転席の窓をほんの少し開けてこう言った。


「こうすれば煙が外に逃げてゆくから」


そんな屁理屈を言いながら、美味しそうにタバコを燻らせていた夫の笑顔が蘇ってきた。






そんな事を思い出しながら運転していると・・・・・


ん?


またまた芳しい香り?


メグちゃん!


後ろに乗っていたメグちゃんが、をした。


くっさ~い。


そして、思い出した。


夫を連れてドライブしていた時にも、同じ事があったな、と。


片付けるために車を止めた場所は、嘗て夫と一緒に何回も出かけたお花畑の脇だった。


毎年、もしかしたら今年が最後になるかも、と、内心不安を抱えながら、咲き誇る花を愛でた。


二人揃って、チューリップ畑の中を歩いた。


満開の桜の下で、花吹雪に吹かれた。


見事なお花と共に、写真を一杯撮った。


楽しかった。


笑顔が一杯だった。


幸せだった。




そんな楽しい記憶の次には、だんだんと苦しみの淵に落ちて行く夫の事も思い起こされた。


何とか、気分転換できないかと思って、あちこち連れ出した。


でも、大抵は徒労に終わった。


眉間に皺が寄った苦しそうな顔も思い出される。


何をやってもダメだった。


そして、楽しかったお花見も、やはり終焉を迎えた。


メグちゃんが落とした芳しい香りから、そんな事まで思い起こされてしまった。






今日の目的地は、近くの日赤だ。


夫が家にいた頃、何度も何度も通った日赤。


今は、私が、3ヶ月に一回、血液検査の時に行くだけになった。


家を出てから10分ほどの道中、普段は封印している想い出が、奇しくも二つの香りによって蘇っていたせいかどうか分からないが、病院に入ってからも、私は、夫との想い出に敏感になっていた。


「整形外科」の文字が目に入った。


普段は素通り出来るのに、こんな思いに取り付かれている時は、案の定、大騒動だったあの日が蘇ってきた。










私の頭の中には、いつも夫が居る。


でも、今日は殊更、その存在が濃い。







夕方、4日ぶりに病院へ行った。


熱は下がっていたが、まだベッドに寝たまま点滴を受けていた。


ティータイムが復活する日を待っている。


























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