最近、ヒロくんにとってエスカレーターは、だんだんと恐怖の乗り物になって来た様です。 何時ごろからそうなったのか、あまり定かではありませんが、乗り降りの時にまるで幼児の様に恐々と足を踏み出すようになって来ました。
先日、掃除機と、ヒロくんにとっての必需品のCDプレーヤーが壊れたので、家電量販店に行った時の事です。
ちょっと脱線しますが、最近の電気屋さんは一昔前と違って、掃除機一つとってみても、あるわあるわ・・・・・何十台も並んでいて、殆ど知識ゼロの私は何をどう選べば良いのか、まるで浦島さんのごとく戸惑ってしまいました。
頼りになるのは、運転手代わりに着いて来てくれた息子ですが、流行の家電芸人に影響を受けた彼の視点と、ひたすら実用的であれば良いと思う主婦の視点はややずれていたりして、ほどほどの所で合意を見出し、漸くレジに向かった時には、店内には既に閉店の音楽が流れていました。
やや疲れましたが、ヒロくんがご機嫌が悪くならずに大人しく座っていてくれたのが救いでした。
買い物が終わったので、、、、さあ帰ろう。息子は、自分が買った荷物を抱えてさっさと先を歩いて行きます。
掃除機が入った大きな箱を持つのはヒロくんの仕事です。些細なお仕事でも、自分が家族の役に立っていると思える瞬間が少しでも沢山あると嬉しいですね。ヒロくんは得意げに重い掃除機の箱を両手で抱えて運んでくれました。
店内にはもう殆ど人は居なくなっていて、私達3人は急いで下りのエスカレーターへ向かいました。
ヒロくんと私がエスカレーターの乗り口に差し掛かった時には、息子が乗った段ははもう殆ど下までたどり着いていました。
急いで急いで・・・・急ぐ必要は全くないのに、何故か心が急いで急いでと思うのは、店内に流れる蛍の光のメロディのせいか、それとも単に私がせっかちなだけか・・・・多分、後者でしょうが・・・・
その時、私はまず自分が先にエスカレーターに乗りました。そして、その後、直ぐにヒロくんがいつもの様にゆっくりゆっくり足元を確かめるように乗って来るのを確認しようと振り向きました。
あ、ダメだ!
ヒロくんは、掃除機の大きな箱を、両手で抱える形で持っていたので、足元の段が全く見えないのです。何度も乗ろうと思って足を踏み出そうとしていますが、見えない階段には足が乗りません。
これは、大変!あぶない。
どうしようと思う間にも、私はどんどんと下へ下がって行きます。エスカレーターは止まってくれません。
私は、急いで逆走して、上に戻ろうとしましたが、上がっても上がっても中々ヒロくんの元へはたどり着きません。早く、戻らなくては。ど根性でダッシュして、漸くヒロくんの元へ駆け上がりました。
多分、ヒロくんは何故自分がエスカレーターに乗れなかったのか、何故私がエスカレーターを逆送しているのか、分からなかったと思います。
とにかく、私はヒロくんから重い掃除機の箱を受け取って、二人とも無事に階下へ降りる事が出来ました。めでたし、めでたし・・・・・
ヒロくんと外出する時は、それなりに危険予測しているつもりだったけど、まだ足りなかった。
もっともっと幼児のごとく目を配らなくてはなりません。そして、いつでも手が届く所に自分が居なくてはなりません。
本日の教訓でした。
すごい、すごい!
こんな冒険も介護あればこそ。
大変ではあるけれど、事故につながらなかったら良い思い出に変わることって多いですよね。
介護中のエピソードとして。