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いつでも里親募集中

今朝のヤツは手強かった。


ここ数日、朝になると、ヤツが降臨する。


さすがの私も、怖くて目が合わせられない。


出来るだけ刺激しないようにする。


ヤツが音もなく近づいて来た時は、じっと固まっておく。


そうすると、ヤツは何事も無かったかの様に通り過ぎる。


ほっとしながら、プレデターを前にして息を潜めているシュワちゃんを思い出す。


何てスリルに満ち溢れた生活だろうか。


ヤツのパワーが増して、残された隊員の生活に支障が出ると判断した時は、緊急の手段に出る。


ヤツを寝室に閉じ込めるのだ。


床にお尻を着いた状態にしておけば、大きな危険は無い。


○▲□※・・・・


ヤツのわめき声がこだまして来る。


だけど、ほんの一時間もすれば、ヤツは観念する。




今朝、一瞬の目離しの隙に、ヤツはウエットティッシュを一枚、パクリと口に入れた。


使い終わったものをそのままテーブルに置いていたのが悪かった。


困った。


食べ物じゃないから口から出して、と言葉で納得させることは不可能だ。


ヤツは、健在の咀嚼機能で、ぐちゃぐちゃと噛んでいる。


吐き出させようとすればするほど、荒れて手を振り上げる。


ヤツサイドから見ると、当たり前だ。


せっかく見つけたいいものを取り上げられようとしているのだから。


困った、どうしようか。


まあいいか。


最悪飲み込んでも、その内出てくるだろう。


そう思ったけど、やっぱり出来るなら出してもらいたい。


バトルの末、ヤツの口の中からぶつを取り出すことに成功した。


その後、荒れ狂うヤツをずるずると引っ張って、寝室に閉じ込めた。






なんて事してるんだろうと思う。


せっかく家に帰って来たのに、個室に閉じ込められるんじゃ、病院と何が違う?


なんて非情な仕打ちなんだろうと思う。


こんなんじゃ、もう無理かもしれない。


気が弱く、弱く、絶望的な気分になる。


9時になったら、ワーカーのSさんに電話しよう。


今までにも、何度も何度もそう思った事がある。


なにしろ、最優先で再入院させてもらえる約束だ。


9時が待ち遠しい。





いつの間にか、寝室が静かになっている。


気分を改めて、ドアを開けてみた。


そこに居たのは、床にお尻を着いた、まるで幼児の様な夫だった。


お父さん、ここにいたの?あっちに行ってご飯食べようか。


うん


夫は、とても可愛く答えてくれた。


そのあどけない後姿に涙が出そうになった。


オムツ替えにも素直に従ってくれて、大人しく椅子に座ってくれた。


お試しで借りているリクライニング式の車椅子が調子良い。


悪魔は完全に姿を消して、いい顔の夫が座っている。


本当にいい顔だ。


私は、嬉しくて嬉しくて、夫の顔を見ながら何度も笑った。


バカみたいに笑っている私を、夫はやや不思議そうにじっと見ている。


穏やかな時間が流れる。


平和だ。


良かった、9時になる前に夫が戻ってきてくれて。


Sさんに電話するのが、また先延ばしになった。




全く、天国と地獄が目まぐるしく入れ替わる。


願わくば、地獄の時間が、もっと少なくなります様に。






コメント

初めまして

奥様の旦那様を思う気持ちに読んでいて涙が溢れました
奥様の強さに頭が下がります
いえ 強く成らざるをえないんですね
うちはまだ初期だけど 悲しくて辛くて
前向きになんて中々なれなくて悲観するばかり

私ももっとお父さんの事を思ってあげれたら・・

そらさん

コメントありがとうございます。

私は、もう10年もこの病の夫と付き合ってきました。この長い時間によって、救われたことが一杯あります。

初めのころは、現実から逃げることばかり考えて生きていました。

夫に対して優しい気持ちにもなれず、むしろ自分が被害者の様にも感じていた鬼嫁でした。

最後の行のそらさんのお気持ち、そう思っておられるだけで充分だと思いますよ。

長い道のり、どうぞお体にお気をつけて、ゆっくりとお進み下さい。

また、お立ち寄りくださいね。

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