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いつでも里親募集中

そんな馬鹿なと思われるだろう。


脳が萎縮する瞬間を見た、などと言えば、慣れぬ在宅介護でとうとう幻覚を見たか、と思われるかもしれない。


だた・・・私は、見た。


見た、と言うより、感じた。


夫の脳が、今、この瞬間に萎縮している、と思えた。



大騒ぎの入浴支援が行われた日の夜、夫はいつも通り9時にベッドに入り、その後午前1時半に目を覚ました。


オムツを交換して、普通ならそのままもう一度眠ってくれる。


が、その日は眠ることを拒否した。


付き合ってはいられないので、私は眠ることにした。


寝室のドアを閉めて、リビングに出られないようにしておけば、大きな危険は無いと思う。


入院する前は、どんなに疲れていても、夫の動向を見張っていなくてはならなかった。


何故なら、まだオムツをしていなかったので、深夜あちこちにオシッコをしたり、最悪、パンツの裾から零れ落ちたを踏みつけて歩いたりすることがあるからだ。


今は、オムツをしているので、そんな心配もなくなった。


動きも、随分ゆっくりになったので、メグちゃんを抱きしめて隠れる必要も無い。


私は、普通に寝ていればいいのだ。


そう考えると、随分楽ができるようになったと思う。


次に私が目を覚ましたのは、5時だった。


夫は、相変らず歩き続けていた。


その後も、夫は歩き続けた。


さぞ、疲れているだろう。


病院の看護師さんが言われるには、本人が歩きたくて歩いているんじゃない、そう言う指令が行ってしまうから歩き続けるらしい。


疲れきっても、休みなさい、の指令が出ない。


9時、何とかして誘って、夫は漸くソファに座ってくれた。



疲れた顔をしている。


眉間に刻まれた皺。


でも、その表情は、嘗ての苦悩の顔とは少し違っている。


訳が分からない事への戸惑い、不安の表情だ。


私は、夫の横に座り、下から彼の顔を覗きこんだ。


可哀想に・・・・


いつまで経っても苦しみは消えない。


生きている限り、楽に暮らせることなんか無いんじゃないのか・・


夫の安らぎは、死ぬこと以外に見出せるのだろうか・・・


そして、私は、傍に居ながら何もしてあげられることが・・・・・ない。


お父さん、しんどい?何処か痛い?


夫は、何も答えず、不安と戸惑いの中に居る。


大丈夫、大丈夫、


本当は、何もかも大丈夫じゃないのに、私はそう言い続けた。


お父さん、大丈夫だからね。お母さんが傍に居るからね。

いつもいつもお母さんが一緒に居るから、何も心配いらないからね。

いつも、いつも死ぬまで一ずーっと緒に居るから、大丈夫、大丈夫。



言いながら、泣けてきた。


その時、私は感じたのだ。


夫の脳が、今、萎縮を始めた、と。


夫の表情は、「なに?なに?なにもかもわからないよ。」と言っていた。


ああ・・・・脳が小さくなって行く。


もう、随分萎縮してしまったのに、もっともっと小さくなって行く。


何故、そんな感覚を持ったのか分からないけれど、その時の私は、そう感じていた。


そして、その時、小さな、いえ、私にとっては大きな奇跡が起きた。


だいじょうぶ・・・・


夫の口から、そう言葉がこぼれた。


もう、殆どの言葉を無くしてしまったので、久しぶりに聞いた意味のある「言葉」だった。


私は驚いて夫の顔を見た。


すると、もう一つの奇跡が起こった。


夫の顔から、戸惑いと不安が消えていた。


彼の表情が、微妙に緩んだのを、私は決して見逃さない。


そう、大丈夫、大丈夫だからね。


私は、何度も繰り返したけれど、夫の口から、それ以上の言葉は出なかった。












あれ以来、夫は穏やかさを取戻した。


相変らず一日中歩き回っているけれど、静かな穏やかな表情なので救われている。


「怒り」を司る脳の部分が小さくなったからに違いない、


と、言う私だけが知っている事実は・・・・・







誰にも秘密にしている。













コメント

アルツハイマーって病気はいったい!

いつも読ませていただいています。母が7年前にアルツハイマーと診断され、そのとき75歳の母でした。
遠距離介護で毎月帰るたび、進行が進み、ひとり残して帰る飛行機の中で涙がとまらずにいた7年前。今もいつも心の中の涙がとまりません。もっとそばにいてあげたかった10年前にもどしてほしい。一人暮らしで日々わからない自分を感じてどれだけ母は心細く怖かったことか。この悲しさを感じて過ごす私には若年性認知症の怖さ、酷さは身に沁みます。なんと酷い病気なのか。これを治療する手立てはいつ、だれかがなんとかしてくれることはありうるのでしょうか。

「夫婦ってすごいな」
そう思わされました。

コメントありがとうございます

本当に、いつかこの病気が完治する日が来ることを祈るのみです。

それまでは、病と共に歩き、その中でそれなりの幸せを感じて生きてゆく以外に無いのかもしれません。

沢山の人が、辛く、悲しく、苦しんでいます。本当に、治ってほしい・・・

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