夫は退院以来一度もお風呂に入っていない。
何しろ、お葬式の相談までしていた位だから、お風呂なんて二の次どころか、十の次位の位置にあった。
毎日、ヘルパーさんが陰部臀部を手作りペットボトルシャワーで丁寧に洗浄して下さっているので、それで良いと思っていた。
でも、ケアマネIさんから、無料のお試し訪問入浴を勧められて、とりあえず試してみることにした。
ところが、こんな日に限って、夫は朝からご機嫌斜めだ。
元気一杯の#〇〇$☆・・・・・の声と共に、長い両手が空を切る。
全く・・・ここまで元気にならなくても良いのにと思う。
Iさんから、夫の状態は伝えてもらってはいるが、今日は、きっと無理だろうと思っていた。
夫からみれば、いきなり知らない人が来て、何をされるか分からないのだから、それはそれは不安で、不穏にもなるだろう。
私自身も、訪問入浴と言う言葉は知っていたが、実際どんな風にするのか、興味と同時に不安があった。
大体、寝たきりのお年寄りが対象なのだろうと思っていたので、ある意味元気一杯の夫を、上手に扱うことなど出来るだろうかと、疑心暗鬼だった。
やってきたのは、おじいさんと呼んでもおかしくないほどの年齢のおじさんが一人と、遠めに見ると安岡力也風の体格の良い強面のお兄さんが一人、あと若いお姉さんが一人。
う~ん・・・・やっぱり、無理じゃないか・・・・・と、内心思った。
私は、今日の夫の状態を伝えて、リーチが長いから気をつけてください、とまで言った。
無理そうなら、途中で止めてくださいね、とお願いした。
だけど、
3人は実に手際良く浴槽を設置して、大きな混乱無く、夫を入浴させてくれた。
移動の時や、あちこち身体を触られている時は、少々不安気な表情もあったが、浴槽に身体を沈めている夫は、とても気持ちの良さそうな顔をしていた。
力也風お兄さんが、やさしくやさしく夫の身体を洗っている画は、何だか感動的だった。
ベッドに収まって、ポカリを2杯飲んだ夫は、その後もずっとずっと良い顔が続いて、怒りは影を潜めている。
きっと、気持ちが良かったんだな。
多少の疲れもあるんだろう。
訪問入浴、
いいかもね。
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