Nホームさんのお庭に、見事な紅白のしだれ梅が咲きました。 ぽかぽかと暖かく、絶好の梅見日和となり、テーブルを囲んで賑やかにお食事会が開かれました。
その日はデイに行く日ではなかったのですが、「奥様も一緒にどうぞ」とのお誘いを頂き・・・・・・
よかった、これで数時間を過ごす場所が出来た、と喜んで二人で出かけました。
何かする事がある、と言う事にとてもほっとする昨今なのです。
お庭は、おじいちゃんおばあちゃんやそのご家族、地域の方や職員さん達で大賑わいでした。
樹齢120年と言われているピンクのしだれ梅が、庭の片隅をまるで扇が逆向きに開いた様に飾っている様は、本当に見事でした。近くによると、控え目な良い香りが漂っています。
しだれ梅の見事さにも感嘆しましたが、私が密かに喜んだのは、お庭をのんびりと歩いているネコ・ネコ・ネコ・・・・・・・何と10数匹も居るそうです。
か~わいい~~!と抱っこしたかったけど・・・・ネコちゃんたちはマイペースで庭を闊歩しています。
クロちゃんシロちゃんが死んでしまって、約2ヶ月が過ぎて、本音はヒロくんも私も次の「癒し」を欲しているのですが、これから先の事情を考えると、決断できないでいます。
それはさておき、ぽかぽかと暖かい陽だまりの中で始まったお食事会は、職員さん手作りの豚汁やおにぎり、最後にはデザートまで出してくださり、和やかな雰囲気で過ぎてゆきました。
恒例になっているらしい、おじいちゃんおばあちゃんの歌が飛び出すと、皆さん手拍子でとても楽しそうです。演歌・軍歌・・・・締めは童謡で・・・
ヒロくんは、、穏やかな笑顔を湛えて、ハミングしながらしっかりと輪の中に参加しています。どうも、ここでは私が関与しないヒロくんの世界、おじいちゃんおばあちゃんや職員さんたちとの世界、が出来上がっている様です。とても新鮮でした。そして、嬉しかった・・・・ヒロくんが楽しそうにしているのを見るのは、今の私にとって何よりの喜びです。
楽しい時間は瞬く間に過ぎて行き、お開きの頃にケアマネYさんが「時間があったら他のご家族の方とお話しして行きませんか。」と言われました。
Nホームさんでお世話になって約半年ですが、まだ他のご家族の方にお会いした事はありません。
ヒロくんをホームのお部屋に連れて行ってもらい、用意された別室で、Yさんを挟んで3家族が顔を合わせました。
一口に認知症と言っても、それぞれの事情は千差万別です。一人暮らしの実のお父様を見ておられる娘さんご夫婦、そして実のお母様を見ておられる娘さんご夫婦、そして「ご主人が若年性アルツハイマーの・・・・・」とYさんに紹介されたのが私。
「家族が認知症」と言う共通点はあるものの、私は目の前の二組のご夫婦を見て、「夫婦でそこに座っている」と言うだけで、本当に素晴らしい事に思えて・・・やっぱり私は違うんだなぁ・・・・と。
それでも、やはりその共通点では、悩み苦しみが共感できるので、色々なお話を伺って、なるほどと思うことが多々ありました。
一人の奥様は、「追い詰められて、おばあちゃんを殺して自分も死のうと思って、包丁を持ち出したところを主人に見つかった。」と話されました。そして、「特養を申し込んでいるけど、全然入れない。有料のホームには入れないし、貧乏人は苦しまなくてはならないのか・・・」と。
TVで報道されているような話しを目の前の奥様の口から聞いて、現実の厳しさを実感しました。
我が家は、今はまだ、家庭での生活を中心に、比較的穏やかな日々が続いていますが、何時までもこの生活が続くと思ってはいけない、少し真面目に将来の事を考える時期が来ているのかもしれません。
私は、かなり楽観的で、いつも「まあ、何とかなるさ・・・」で50数年を過ごしてきましたが、「何とかなる」為には、誰かが「何とか」しないといけない訳で、そしてまた、その「誰か」とは、私しか居ないのですよね・・・・・
「特養の申し込みだけでもしておいた方が良いですよ。」と言われたYさんの言葉に、現実がひしひしと迫ってきました。
ちょっと切ない家族会となりましたが、それでも同じ悩みを抱えたご家族の方々とお話し出来た事は、時々顔を出す「孤独」の影を薄めてくれた様に思います。よかった・・・・・・
様々な症状のご利用者様と接して居ますが、少しでも笑って過ごしていただくよう心がけの勤務です。家に帰ればのんびりの時があるからこそだと思います。
デイも色々刺激がありますよ。無理せず甘えるのも良いのでは