看護師長Jさんは、今年の11月で定年になると言う。
その後は、今の病院に所属したまま、訪問看護を主たる仕事とされるらしい。
精神科全般の訪問看護は、過去にもあったらしいが、認知症の患者さんに対する訪問は、我が家が第一例だったとの事。
その後、退院後在宅へ戻られた方2人と、外来に通っている方1人、都合3件の訪問看護をされている。
認知症の家族を介護している者にとって、特養やグループホーム、有料ホームなどの施設への入居は、一つの心のハードルを越えなくてはならない。
まして、精神科病院への入院は、聳え立つような壁を乗り越えなくてはならない。
人それぞれだから、一概には言えないけれど、
私に限って言うと、片方に殺人、心中、と言う言葉があって、その対角線に精神病院があった。
流石に、事件を起こす訳には行かないから、とうとう入院させた。
私にとって、精神科への入院は、それほど別世界だった。
そんな別世界のJさんとも、いつの間にか仲良くなった。
Jさんは、仕事をてきぱきとこなす、やり手の看護師さんタイプの方だ。
使命感に溢れる引き締まった顔で、決して愛想は良いほうではないので、初めの頃は(内緒だけど)ちょっと苦手だった。
面会を重ねる度、また、在宅で訪問を受ける度、Jさんと話す機会が増えて行った。
Jさんは、私の話を、いつもいつもじっくりと聞いてくれた。
何をしゃべっても、どんなおかしなことを言っても、否定されない。
長年精神科の看護師さんをしてこられて、患者はもちろん、沢山の家族と接して来られたのだから、私の心の中は、きっとお見通しなのだろう。
そんなJさんに、一度だけ怒られた事がある。
それは、私が、ここ数年、健康診断に行っていない、と言った時。
健康診断、行ってください。
行かないとダメですよ。
ご主人の事は、辛いだろうけれど、受け入れて行くしかないです。
だけど、奥さんは、自分の事を考えないといけません。
息子さんたちは、お母さんの事を本当に心配しているんですよ。
これから先、お父さんを見送って、その後、お母さんには、元気で生きていって欲しいと願ってるんですよ。
そのためにも、お母さんが元気でないとダメでしょう。
この先、孫が生まれて、おばあちゃんにもならないといけないでしょ。
自分が元気でいないといけないんですよ。
健康診断、行ってください!
怒られながら、嬉しかった。
きっと、私にお姉さんがいたら、こんな風に怒ってくれるんだろうと思った。
Jさんは、こうも言った。
奥さんは、自分の楽しみを見つけてください。
自分には、これがある、と思えるような何かを持つことはとても大事です。そして、Jさんは、ご自身の長年の看護師生活の事と、定年近くなって見つけた楽しみについて聞かせてくださった。
今のところ、気合を入れないと、足が向かない病院だけど、病棟に入ると、ついJさんを探してしまう私です。

今日も、青空


ゴーヤがはじけました
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