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奇跡

5ヶ月間、寝たきりだった人が、いきなり立ち上がって歩き始めることがあると思いますか?



常識では考え難いけれど、摩訶不思議な認知症の世界で生きていると、時としてこんな奇跡に出会うことがある。・・・・・



夫は、6月の始めに家で転倒して以来、ずっと寝たきりだ。


肺炎から生還して、在宅で過していた頃、元気回復してきた夫を、一瞬だけ立たせた事があった。


だけど、その後はあまりにもご機嫌の悪い状態が続いていたので、立つ、とか、歩く、などと言う事を試みることなどとても出来なかった。


そして、引き裂かれるような状態での入院。


入院後の経過は、大体ブログで書いてきた通りだ。


つまり、拘束された状態で、ずっと寝たきり。


私が行った時だけ、車椅子に移乗するが、それはせいぜい週に2回、時間は一時間程でしかない。


だから、夫は、6月の初めから、ほぼ5ヶ月近くずっと寝たきり状態が続いていた訳である。


もう、夫が歩けるようになるとは考えていなかった。


と言うより、歩けるようになって、再び当てなく歩き続ける事に意味はないと思っていた。


眉間に皺が寄った苦しそうな表情で、足がパンパンに腫れてもなお歩き続ける事が、夫の為だとは思えない。


寝たきりでも良いから、穏やかで居てくれたらそれで良いと思った。


だけど、夫は、寝たきりになっても穏やかにはなれなかった。


ベッド上でも、動きが激しく、結局拘束されることになった。


落ちるところまで落ちた、と思った。


もう、この現状を受け入れる以外に道が無い事を悟った。


受け入れる、と言うと響きが良いが、要は諦める、と言うことだ。


でも、諦めるのも悪くない。


諦めてしまえば、意外に気持ちが楽になれる部分がある。


そんな諦めと共に、数ヶ月が経った。



最近の夫は、調子が悪くない時が多い。


入院当初の、激しい怒りや抵抗は少なくなって来たらしい。


もしかしたら、薬が合っているのだろうか。


眉間に皺が寄った苦しそうな表情がなくなる事はないけれど、普通の顔や、穏やかな顔、時に笑ったりしてくれる時間が増えてきた様な気がする。


車椅子に座っている夫に、「お散歩行こうか。」と声をかけると、必ず立ち上がる素振りを見せる。


言葉の意味が分かっていると思われる。


ベルトさえなければ、絶対に立ち上がるだろうと思えるような感じの時もある。





今日の夫は、いつにも増して絶好調だった。


看護師さんによると、朝から調子が良いらしい。


おどけた笑顔を惜しみなく見せてくれた。


お父さんは、○○○×さんですか?


姓名を言うと、当っている時だけ頷く。


これは分かっていると思えた。


この感触、久しぶりだ。


長男の名前を言った時、


○▲!#☆


何故だか、つぼにはまったらしく、とても楽しそうに笑ってくれた。



平和な楽しい時間だった。


幸せだった。


夫と過していて、こんな穏やかな気持ちになれる時間がまたやってくるとは、思っても居なかった。


でも、油断は禁物。


まだまだ、警戒心が解けない私である。





車椅子を押して、廊下をお散歩していると、作業療法士のおねえさんに出会った。


夫は、おねえさんにもご機嫌の笑顔を披露してくれた。


先日、ワーカーのSさんと話した時、立ち上がる訓練はここでは出来ないと言われていた。


立ち上がる事は危険が伴い、誰かがずっと着いている事は不可能だからだ。


そうは言われていたが、私としては本人が立ち上がりたい素振りを見せた時には、手を添えて立って貰う、と言う事がしたかった。


決して、ウロウロと歩き回って欲しい訳ではない。


ほんのちょっとでも立ってくれたら、車椅子とベッドの移動が楽に出来るのではないかと思った。


そして、オムツ替えも、立っている間に出来るのではないかと思う。


そんな想いをおねえさんに話した。


訓練としてすることは出来ませんが、奥様が来られている時に、私と一緒に、ちょっと立って貰う事は出来ますので、やってみましょうか。


何て物分りが良いんだろう。


直に私の願いを叶えてくれた。


おねえさんは、車椅子を廊下の手すりの前に持って行き、ベルトを外してくれた。


今日の夫はご機嫌が良い。


お父さん、お散歩行こうか?


うん


夫は、お姉さんが摑まらせてくれた手すりを、両手でしっかりと握り締め、当たり前の様に、立ち上がった。







そして・・・・






何と、そのまま歩き出した。


まるで、ほんのちょっとだけ椅子で休んでいただけだよ、といわんばかりに自然な感じで歩き出した。


私とおねえさんは、あわてて手を取った。


夫は、5ヶ月ぶりに、いや、5ヶ月ぶりなのに、自分の足で歩いた。


やや心もとない足取りだけど、私が腕を取って、お姉さんが後ろから腰の部分を支えて、歩いた。


歩いた。


歩いた。


夫は、自分の足で歩いた。


あっちからこっちまで、歩いた。



歩いている夫を支えながら、私は本当に嬉しかった


そしてある意味、得意だった。
(ほら、見て!歩けるのよ!長い時間の拘束にも、私の夫は負けないのよ!)


あまりに歩きすぎると心配なので、椅子に誘導して座らせた。


私とおねえさんは、何度も顔を見合わせて驚き、そして笑った。


夫も笑う。




普通は、5ヶ月も寝たきりだったら、とても歩けない。


それは、恐怖心があるからだと言う。


まず、地面に足を着けるのが怖くて出来ないらしい。


だけど夫の場合、脳がそんな事を考えないのだろう。


だから、ベルトが外れると、当たり前の様に歩き出したに違いない。


しっかりと口から食べて、栄養状態も良く、また、ベッドで寝ていても、足を動かしていた事が運動になっていたのだろう。


何より、まだ年若く、元々健康な体であることも大きいと思う。





今日は、本当に嬉しかった。


だけど、夫の場合、ここから先が難しい。


歩けるようになる事を、本人の幸せに繋げる事は、至難の業だ。


ひたすら歩き続ける、あの状態に、戻って欲しいとは思わない。


程好く歩く、と言う状態が、何とか実現できないものだろうか。







それにしても、今日の夫は、本当に素晴らしかった。


もしかしたら、私に伝えたいのだろうか。


まだ諦めるのは早い、って。





いや、そんな深読みは、私らしくないから止めておこう。


















コメント

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素晴らしい奇跡 まだまだありそうですね。 うれしいです。 ヤッホー!   メグ ちゃん おばさん ラブがいなくて とっても淋しいけど メグちゃん に 慰めてもらっているよ  ありがとね。                

いつだったかTVで某歌舞伎役者さんが
「奇跡は起きるのを待ってるんじゃなく、起こすものだ。」って言ってました。

私は、奇跡がイマイチ信じられません。
それは、momoさんがいつも「でも、油断は禁物」と心にブレーキをかけるのと同じ理由です。

起こそうと思って起きるものではないと思っています。
だって思うだけで奇跡が起きたら、それはもはや奇跡とは呼ばないでしょう?(笑)

諦めない人に奇跡は起こるのだとは思います。
奇跡を待ってるわけじゃないけど、ただ「諦めないでいよう」と そう思ってます。

ご主人様、スゴイですね!
5ヶ月も歩かなければ、筋力が衰えて立つことすら難しいのに。。
これは、訓練すれば元のように歩けるかもしれないですよ!

momoさんにとって、嬉しい時間がたくさん出来たことはご主人からの贈り物だったのでしょう。
もっとそう言う時間が増えると良いですね。

44E355さん

こんにちは。

ラブちゃんの居ない秋は、さぞお淋しいこととお察ししてます。せめて画面だけでもメグちゃんのぬくもりをお届けする様、デジカメ撮影、サボらないで頑張りま~す!

まっちさん

諦めない人に奇跡は起こる、って、とても素敵な考え方ですね。

奈落の底も住めば都、と思っていたけど、もし這い上がれるのなら、それは、地上の方が住み心地は良いでしょうね。一歩一歩にしておきます。

クラゲさんへご連絡です

何回かメールを送ったのですが、いつも戻ってきてしまいます。
私のアドレスを入れたので、宜しければ、お時間のある時にメールして頂ければ嬉しいです。

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