夕食の時間に辛うじて間に合った。
6時に病棟へ到着すると、夫はちょうどこれから夕食

を食べさせてもらう所だった。
準備は全て完了していた。
準備と言うのは、ベッドの背もたれを起こして、エプロンをする事。
あと一つ、常時の胴体拘束の他に、上肢拘束をする事。
まだ、手で食器を払ったりすることがあるらしい。

今日の担当は、若いお兄さんだ。
せっかく準備完了していたけれど、私が来た限りは、この態勢で食事をするのは、ちょっと悲しいので、お兄さんに頼んで、車椅子

に移してもらった。
昼間とは、ちょっと雰囲気が違うホールに連れて行って、随分久しぶりの夕食介助になった。
今日のおかずは、スズキの照り焼きにほうれん草の和え物、サツマイモのサラダ、きのこのお吸い物。
それに、大きな器にたっぷりのお粥が入っている。
昨年、入院直後に
食事の介助をした時は、涙が出てくるのを一生懸命こらえなくてはならなかったけれど、今の私は、それが自分の日常の一こまにまでなっている。
随分逞しくなった事。

隣のテーブルから、一生懸命おばあちゃんに食事を食べさせようと苦労している娘さんの声が聞えてくる。
「あ~んして」
「ゴックンできた?」
夫は、相変らず食欲旺盛。
苦労なく、山盛りのお粥も、完食した。
持って行ったりんご

とバナナも食べた。
ありがたい。

食べてくれる事は、本当にありがたい。

残念ながら、言葉と笑顔

は無かったけれど、穏かな表情の夫と過した、夜

のひと時、
超多忙

な師走の日々の、心安らぐオアシス

だった。

コメント
コメントの投稿