久しぶりに、昼間面会に行った。
看護師さんが、車椅子

に移しながら、
「○○さ~ん、目、開けてごらん。奥さんが来たよ。」と言った。
最近の夫は、大抵、目を閉じている。

車椅子

に移って、お八つ

を食べ、色々話しかけているうちに、その閉じられた瞳が開いてくる。

病気の進行は、早い。
最近は、ほんのちょっとの単語もめったに出なくなった。
ポットに入れて持って行った温かいコーヒー

を飲ませる。
熱い?あついあ・つ・い
この三つのひらがなが聞けただけで、とても嬉しい。

人間、最後は息をするだけで周りを感動させることが出来ると聞いたことがあるが、分かるような気がする。
夫が目を開けている時、私は時々真正面に立ってみる。
何が見えるかな?
握手と言って、手を出すと、夫も自分の手を差し出す。
温かい手。

大きな手。

どうか、瞳を閉じないで、と願う。
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